変圧器の働き〜トランスとは〜

受電・変電

1.変圧器の居場所

電力会社の発電機は原則、特別高圧といわれる極めて高い電圧での発電であることはこれまでの記事のとおりです。

しかしここでつくられる高い電圧の電力は送り出しの上流としては少々低く、また需要家でエネルギーとして使用するにはあまりにも高いです。

そこで活躍するのは「変圧器」です。別名「トランス」とよばれ交流電圧の変換を担います。

また、変圧器にはいくつも種類がありその用途は様々です。

この変圧器はどんなところに設置されているかというと、目で見てわかる場所としては電柱の上です。電柱の上にあるので「柱上変圧器」とよばれます。

郊外や山奥に変電所がありますが、その構内にある大きな四角の箱も変圧器です。

送電に関わるところとは別に、見たことあるという人は少ないかもしれませんが、制御盤の中にもトランスが取付けられていることがあります。

2.変圧器の目的

これらのように実は案外多くの場所で用いられている変圧器ですが、目的は皆一緒で負荷機器に見合った電圧に変換するということです。

注意すべきは「交流回路」上での使用ということです。

動作としては交流の一次電圧V1[V]を需要家が受電可能もしくは使用可能な交流の二次電圧V2[V]へ電圧変換します。

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3.交流電源なら容易

先程も少し触れましたが、変圧器単体は交流電源における変圧を可能とする電気機械器具です。先に述べたように制御盤内部品としての変圧器も存在しますがこちらも同様に交流電源における変圧を目的とします。

ではどのような原理で電圧の変換を可能にしているのでしょうか。

1)電磁誘導作用

電気と磁気には密接な関係があります。電気の発生するところには磁気が、磁気の発生するところには電気が各々を打ち消すように発現するこの現象は、発電機にも電動機にも利用されています。そしてさらに変圧器の中でも利用しているのです。

変圧器の中にはコイルとよばれる、絶縁処理されている導体をぐるぐると巻いたものがあります。コイルにはその作用をより強力に発現させるために鉄芯というものが差し込まれています。というより鉄芯にコイルを巻き付けている形です。

各々巻数の異なるコイルを用意してごく近い距離で向かい合わせ、片方にV1[V]を印加し電流I1[A]を生じさせると、その瞬間この発生電流による磁界を打ち消すように誘導された磁界をきっかけにもう片方のコイルの両端にV2[V]が現れます。

この電磁誘導作用のことを更に「相互誘導作用」として分類しています。

このときのV1[V]側を変圧器の「一次側」,V2[V]側を変圧器の「二次側」といいます。

ここでポイントとなるのは「その瞬間」ということです。電磁誘導作用はあくまで一次側の変化量を打ち消す働き(相互誘導)なのです。ですので一次側に一定の電圧を印加しっぱなしでは二次側に対して誘導現象は起こりません。そして変圧器におけるこの状態は、印加電圧にもよりますが、コイルの性質上ジュール熱が発生することとなり危険な状態になっていきます。同時に「磁気飽和」という現象も手伝いさらに発熱する方向へと状況は進んでしまいます。

話が逸れましたが、変圧器内部での電磁誘導は一次側で起きる磁界の「変化」を打ち消す磁界の発生が二次側に生じる現象を利用しているということです。ですので常に極性が変化している交流電源においての利用が可能ということになります。

2)巻数比

変圧器は交流電源下でコイルに電流を生じさせることでその目的を達成することができるということを説明しましたが、変圧の結果、V1[V]とV2[V]ではどのような差異が出るのでしょうか。具体的には、欲しい電圧を取り出すには変圧器でどのような工夫が必要なのでしょうか。

率直に述べると、一次側コイルの巻数と二次側コイルの巻数の比がV1[V]とV2[V]の差異となって現れます。

以下、例で数値を使って表現します。

一次側コイルの巻数1000[回]、二次側コイルの巻数10[回]の変圧器で一次側にAC200[V]の電圧を印加した場合の二次側V2[V]をみてみます。

結果を先にいうと、V2[V]は2[V]となります。

どういうことかを以下に説明します。

一次側と二次側における巻数の比と電圧の比は等しくなる

ということです。式に表すと以下のとおりです。

N1/N2 = V1/V2

上の式は比を求める式ですので単位は存在しません。

また、変圧器二次側に負荷を接続し電流が生じた場合も法則性があります。以下に言葉で説明します。

一次側コイルの巻数と電流の積は二次側コイルの巻数と電流の積に等しくなる

です。同様に式に表します。

N1I1 = N2I2

この式も形は掛け算の形ですが比を表したものですので単位は存在しません。

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4.結線方法

変圧器ではいくつかの結線方法が存在します。単相用,三相用というだけでも中身の構造は当然ながら変わってきます。

1)複巻変圧器

単相用変圧器の最もイメージしやすい変圧器です。2つのコイルを相向かいに配置し一次側コイルが二次側コイルに及ぼす誘導作用を利用し変圧を行います。

実際には発生する磁界の元となる「磁束」を逃さないようにするため鉄心を環状にしていまい、その対面にコイルを配置する形で作られます。

ここまでで「複」巻の変圧器があるなら「単」巻の変圧器もあるのでは?と思われる勘のいい人もいることでしょう。確かに存在しますし、利用もされています。

しかしこれに関しては誘導作用の学習をしっかり身につけておかなければ混乱を招きかねないと考え複巻変圧器を中心に説明しました。

ただ、せっかくですので巻線と電圧,電流の発生についての図を載せます。

これに関しては一次側二次側の電気的絶縁が無い(電気的に接続されている)ことと起電力や電流の発生方向から筆者は自己誘導作用の利用による変圧器動作であると解釈しています。

2)スコットトランス

三相交流電源による電力供給(入力)から単相交流への変換(出力)を目的とした変圧器です。産業用として主に単相三線式の交流電源に変換しています。

図のような結線にすることで変圧器内の不平衡(バランスの崩れ)を回避することができます。

ここで注意すべきことがあります。電力会社との契約において低圧の種別である場合、単価の低い動力での給電を単相変換し電灯として使用することは禁止されています。

3)三相変圧器

三相交流電源を三相交流電源のまま、電圧だけを変換して送り出す変圧器です。単相変圧器を三つ用意して結線しても作り出すことが可能です。ただし、内部の結線方法により特徴があります。

三相変圧器の内部的な結線方法には二種類あり、一つ目は三つのコイルを一点から放射状に接続した「Y(スター)結線」、二つ目は三つのコイルが互いを橋渡すように環状に接続された「Δ(デルタ)結線」です。

各々の結線図とその特徴を以下で説明します。

①Y-Y結線

一次側コイルも二次側コイルもY形の結線をした変圧器です。

一次側にも二次側にも中性点が存在するので、両方の接地が容易であることから保守,保護が容易となります。しかしながら、他の結線方法でみられるような環流回路が存在しないため低次高調波である第3次高調波を吸収できず、基本波に歪みが生じやすいです。

②Y-Δ結線

主に降圧用の変圧器として用いられます。環流回路があるため第三次高調波を吸収することができます。

一次側と二次側で30[°]の位相ズレがあります。

一次側に中性点があり、そこから中性点接地ができます。ただし、二次側には中性点が無いので高圧から低圧への変圧における二次側対地電圧300[V]以下ならば二次側一線を接地することが可能ですが、そうでない場合は混触防止板や接地補償コンデンサなどでの接地を施します。

③Δ-Y結線

主に昇圧用の変圧器として用いられます。Y-Δ結線と同じく環流回路が存在し、第三次高調波を吸収でき、また30[°]の位相ズレがあります。

二次側の中性点を利用して中性点接地が可能です。

④Δ-Δ結線

一次側にも二次側にも環流回路がありますので第三次高調波を吸収可能です。

中性点は存在しないので、高圧から低圧への変圧における対地電圧300[V]以下の条件下では二次側の一線を接地可能です。300[V]を超える場合は混触防止板や接地補償コンデンサなどを使用して接地します。

一次側と二次側の位相ズレはありません。

以上のように変圧器と一言にいっても種類や使い方は様々です。また、変圧器自体の構造もモールド式や油入があり、絶縁や放熱に関する考え方もその電圧や容量などにより変化します。

とはいえ、まずは概要から理解した後に更に詳細な知識を深めていきましょう。

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