エネルギー管理士体験談〜電験三種の次に〜

電力と制御の体験記
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1.エネルギー管理士とは

皆さんは「エネルギー管理士」という資格をご存知ですか?

エネルギー管理士とは「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」というなんとも名前ですらピンときにくい法律の下、定められている資格のことです。ちなみに上記の法律は通称「省エネ法」ともよばれます。これならピンときますね。

筆者がこの資格の存在を知ったのは電験三種の資格に挑んでいた頃でした。

電験挑戦中は当たり前ですが、あまり他の資格に興味はありませんでした。というよりそんな余裕がありませんでしたし、またあちらこちらに興味を示すべきではないとも思っていました。

しかし、電験三種もあと二科目で合格という、目標を射程圏内に感じられたときの学習中にふと問題集のカバーに目がいきました。

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2.何の資格?

「(エネルギー管理士?なにそれ。)」と思ったと同時に目に飛び込んできたのは「(電気),(熱)」という文字でした。

「(「電気」って文字ついてるけど、工事士資格でもなさそうだし、なんだろう。)」と感じ、学習の合間に少しだけ調べてみました。

内容としては簡単にまとめると「如何にエネルギーを効率的に使用するかを技術を含め総合的に管理するための資格」ということのようです。そして

国民経済の健全な発展に寄与する

という大きな目的があります。

正直、当時の筆者にとっては「国民経済の健全な発展」に貢献ときいても目的が大きすぎてなにをどうするのかもわかりませんでした。

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3.駆り立てたもの

ただ、その中で筆者の興味をグ〜ッと惹きつけた情報がありました。

「(電験2.5種だと!?)」

エネルギー管理士(電気)に限った話ですが、この情報にまんまと釣り上げられてしまいもう少し深く探ってみたところ、「エネルギー管理士の電気は電験三種と被る分野が多く、プラスαの学習で取得する人もいる。」なんて情報があるではないですか!さらに、エネルギー管理士のみではあまり目立たないですが両方取得(試験合格)でその人の持つ電験三種の価値を底上げする効果もあるとかいう話も聞きました。

もう、取りにいかない手はありません。

そして筆者の次の目標が決定しました。

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4.電験突破後

第三種電気主任技術者試験を突破したその年からエネルギー管理士への挑戦が始まりました。この試験は二つのルートからのアプローチができるようで、ひとつは「熱」分野からもうひとつは「電気」分野からの取得が目指せます。もちろん筆者は電気の分野で受験です。

電験突破からエネルギー管理士に挑戦移行する際に一週間ほど日々学習に対してお休みをとり、その後学習開始しました。

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5.やっぱり問題集から

予め調べておいた問題集をすぐに購入し解き始めました。このときの問題集もこれまで同様解答が別紙になっているものを選びました。

解き始めて実感したのは「たまに表現が異なるものはあれど内容は似かよっている」ということでした。よく聞く話のとおりでした。

もちろん特有の問題もあります。「エネルギー総合管理及び法規」の科目ではほぼ初見の問題が多く、選択とはなるものの「電力応用」の科目内で出てくる〈空調〉に関しても電源三種とよく似ているとはいえない内容です。

そして難しかったのはこの「電力応用」全般です。電験三種の「機械」の科目とよく似た分野ですが、エネルギー計算が主であることから必然的に《積分計算》等があちらこちらでちらほら出てきます。

とはいえ電験三種で被る部分は初見でもわりととっつきやすかったこともあり、学習全体は比較的スムーズに進んでいると感じました。しかし、微分積分やラプラス変換を使用する問題では多くの時間を割くことになりました。

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6.参考書は少ない

学習を進めるうえでやりにくさを感じたのは参考資料の少なさでした。

電験や電気工事士に比べ圧倒的に書籍等が少なく、過去問でつまづいたときに学び直し見直すための教科書がなかなか見つかりませんでした。

筆者は、何であれ学習を進めるうえで良い書籍を探すこと自体がとても大切であると考えます。独学であればその占めるウエイトはなお一層大きくなります。

理由は以下のとおりです。

①多くの書籍の中から自分に合ったものを探す際の目次などを確認する作業でその分野の成り立ちを頭の中で体系的に整理することができる。

②多くの書籍の内容を確認することで現在の自分のレベルを推測できる。

③自分に合った書籍を探し出した時点で学習進捗のシミュレーションが大枠で出来上がる。

上記が筆者の経験に基づく理由となります。

もちろん自分の力量をある程度正確に捉えることが出来ていれば書籍選びも楽になり、ネットを通じたタイトルからの選定や評判をもとにした選定も可能だと考えます。

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7.それでも続ける

参考資料こそ少なかったものの日々学習は電験のときと変わらず「一日も休まない」を続けました。

過去問中心で不明点が出ればネットや少ないながらの書籍を活用しなんとか前にすすめていきました。その結果過去問で90点前後を維持できるようになりました。

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8.試験日

そしていよいよやってきました!試験日。丸一年の結果が出る日です。

なんとなく試験会場慣れしていたのでしょうか。筆者の足取りはそんなには重くなく、むしろ周りの景色や同じ試験場に向かう人たちを眺めながら歩く余裕さえあったことを覚えています。それでもやはり試験場に到着した直後からは緊張があらわになってきました。

なんとなく不安も感じはじめたので、過去問のひとつでも見ておこうかと時間確認しようとしたその時です。自身の段取り上の大きな問題に気づいてしまいました。

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9.まずいっ!

なんと、腕時計を忘れてきていたのです!電験三種もそうでしたがエネルギー管理士も試験中の時間配分が大きなポイントとなります。

筆者の場合は試験開始の合図後、速攻で解けそうな問題と少し時間の掛かりそうな問題とを見極め、アプローチしやすいものを先行消化していき、その後残った中でもまた解けそうなものを消化するというようにすすめるため、限られた時間を如何に有効に使うかはとても大切です。

なのに時計を忘れるなんて…これまでの経験上、試験場となる部屋には時計はありません。急いで用意しなければならないということで近くのコンビニに走りました。しかしどこにも都合よく時計なんて売っていませんでした。

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10.仕方なく

無いものはしかたありません。憎むべきは自分の準備不足です。

というわけで、時計の無いまま試験に挑むことになりました。時間経過は勘に頼ります。筆者は何度も自分に言い聞かせました。「(時計はあくまで時間経過を知らせる指針だ。時計があってもなくてもやることはかわらん。解けそうな問題から先行消化だ。ただ時間が明確にわからない分思いきりが大事になっただけ。)」そう何度も頭の中で繰り返しました。

これに関しては理屈はどうあれ先ずなにより自分自身を落ち着かせることが先でした。

そしてなんとか先程の浮足立った状態から回復し、いよいよ一時限目が始まりました。

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11.頭、疲れる…

粛々と試験は進み「電力応用」の課目に挑んでいる時でした。たしか、「エレベーター上昇時のエネルギー計算」に関する問題だったと記憶しています。これを解いている最中に脳が一瞬だけ思考停止に陥りました。おそらく数秒の出来事だったと思いますが、筆者には数分に感じました。

ハッと我に返り続きを始めましたが脳裏に少しだけ「(オーバーヒートって…笑える…)」という考えが浮かびました。

この束の間のリラックスのおかげか以降の問題はわりとスラスラと解答した記憶があります。

まさか、試験の真っ最中にオーバーヒートからのクールダウンがおきるとは…でもあの体験はとても興味深いものでした。きっと脳が「まてまて!一旦休め!!脳内を整理しろ!!」という命令を下したのでしょう。

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12.ひとまず完走

その後も淡々と試験をこなし、その日の全ての課目を終えました。電験の時同様にズ〜ンと疲れを自覚しました。フラフラと帰路につき自宅で何故かホッとしたのを覚えています。

出迎えてくれた妻から優しく「お疲れ様。」とだけ言われました。以前からそうですが筆者の正念場の後、妻はあまり「どうだった?」とか「うまくいった?」とかは訊きません。良妻です。筆者にはもったいないです。いつもいつもほんとうにありがとうございます。

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13.手応え

実は筆者は手応えを感じていました。ひょっとすると合格できてるかもしれない予感がわずかながらありました。

オーバーヒートしたあの瞬間の問題等、一抹の不安はもちろんありましたがそれを少しだけ上回る自ら導いた結果への期待もありました。

試験を受けたとき、その結果が良さそうか悪そうかというのは案外自分で分かるものですよね。スラスラ解けて手応えのあったときの試験はやはり良い結果にまとまりやすく、躓きまくって全く解けた感の無い試験が高得点なわけがありません。

ですのでこういう予感というものは当たる場合が多いのではないかと筆者は考えます。

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14.予感どおり!

ある日仕事を終えた筆者の携帯電話に一通のメールがありました。妻からです。

「なんか、エネルギーの関係のところからでっかい封筒届いてるよ〜ん(goodマーク)」

もうほぼ結果がわかってしまいました。帰宅中におおよその合否がわかるとは…もう少し「!?!」が欲しいところではありました。

ただ、四課目を一発合格というのは非常に気持ちがいいです。ですが、これというのも先に受けた電験三種の学習効果による部分が大きいと思います。

特に、同試験の「理論」をずっと勉強し続けなければならなかったことが、ここで逆に有利にはたらいたのではないかと感じています。

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15.免状がきた!

一年間の実務経験証明他、必要な手続きを済ませ暫くした後に免状が届きました。

やはり経済産業省の免状。そっけなさは電験同様です。

 

なにはともあれ合格と免状を手に入れました!

「(これでこの先、筆者の電気分野での更なる経験が名実ともに世間に認められる日が来るのかな??)」

二つの免状の名に恥じぬよう実務におけるより一層の精進を積む日々が改めて始まりました!

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