電磁力応用機器~回路の開閉~

電気部品・電子部品
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1.主回路と制御回路

制御に用いる部品の説明に入る前に、制御盤における大まかな回路の説明をします。

制御盤を設計,製作するとき、その図面や配線は「主回路」と「制御回路」に分けることができます。

これをきっちり分けることで図面は見やすく、配線は追いやすくなります。機器の故障や何らかのトラブルにより制御盤内を調査する事後保全(修理)にあたるとき、動力系統などの場合、先ずは異常のある機器の主回路を診にいきます。

そして関係する制御回路へと入っていきます。

このように主回路と制御回路という考え方はとても大事なところです。

今回はこのような回路の双方で用いられる電気/電子部品のうち、ON/OFF動作を制御するものを紹介し説明します。

ただし、記事でとりあげている部品における接続の位置や方法は必ずしも共通ではなく、メーカーや型式によって多少違いがあります。もちろん使い方によっても接続先が変化します。

使用の際は取扱説明書の熟読が必須です。

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2.電磁接触器

電磁接触器」とは電磁力を利用して接点(スイッチ)を動作させ電力を供給する部品です。主として三相電動機(三相モーター)などの駆動用として組み込まれます。

実はこれ、自己保持回路の記事でも、電磁継電器がモデルではありますが説明をしています。ですのでここでは簡単な説明とします。

ただし、使いこなそうとする場合は上記リレーシーケンスにおける自己保持回路のことはしっかりと理解しておく必要があります。

動作としては電磁石化するコイルという部分に決められた電圧を印加するとその電磁力で接点が引き寄せられ接触し、電気を供給できるというものです。このとき主回路に使用する3つ1セットの接点を主接点といい三相回路の1線ずつを接続します。また筆者が知る限り、特別な事情を除き電磁接触器の主接点はa接点で使用します。ラインナップも基本的にa接点となるようです。

コイルへの電圧の印加をいろいろな条件で制限することにより、主接点がつながる先にある負荷機器の動作を自動で制御することが可能となります。

補助接点が有るもの無いもの、有る場合はa接点かb接点か、またその数はいくつかも選定のポイントとなります。

1)コイル接続

コイルの接続端子です。ここに指定の電圧が印加されると接点の状態が変化(OFF→ONまたはON→OFF)します。

2)一次側主接点端子

電源側からの配線を接続します。だいたいは遮断器類の二次側をそのまま接続することになります。三相交流回路の場合、ひとつずつの端子に各々R相,S相,T相と接続します。

接点には「接点定格電流」という定格が存在します。これもどれくらいまでなら流せるかの指標となりますので注意をしてください。

3)二次側主接点端子

負荷側へと引きのばす配線を接続します。三相交流回路の場合、ひとつずつの端子に各々U相,V相,W相と接続します。

このとき一次側をR相,S相,T相の順、二次側をU相,V相,W相の順に接続すると「正相接続」、一次側をR相,S相,T相の順、二次側をW相,V相,U相の順に接続すると「逆相接続」となります。この違いは三相電動機(モータ)で回転方向の違いとして現れます。

4)補助接点端子

補助接点とは三相電源のつなぎ込み端子以外の接点のことです。使い方としては自己保持用であったり、ON,OFFの伝達用であったりします。

こちらにも接点定格電流があります。

メーカーによりオプション扱いである場合や標準仕様である場合がありますので、選定の際は要注意です。

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3.電磁開閉器

電磁開閉器」とは、1)で説明した電磁接触器に「サーマルリレー」という、過電流保護の部品が取り付けられたものになります。

これによりモーターなどで過負荷(著しい回転の阻止で電流値が上がりすぎること)が発生した場合に発熱を感知して回路を遮断します。これによりモータなどを焼損からまもります。

このサーマルリレー部分以外は先の電磁接触器と同じです。

電磁接触器も電磁開閉器も通常主回路に挿入されます。

1)コイル接続

コイルへの接続端子とその挙動は電磁接触器とほとんど変わりませんが、サーマルリレーが付属されていることを考慮した配線が必要です。

サーマルリレーの反応時にどのように遮断するかをよく考慮のうえ、接続しましょう。

2)一次側主接点端子

電源側からの配線を接続します。大体は遮断器類の二次側をそのまま接続することになります。三相交流回路の場合、ひとつずつの端子に各々R相,S相,T相と接続します。

接点定格電流の注意は電磁接触器と同じです。

3)二次側主接点端子

電磁開閉器はすでにサーマルリレーが付属された形です。よって負荷機器へと引き出す二次側接続はサーマルリレーから取り出すことになります。

接続順番と相順は電磁接触器のときと同じです。

4)サーマルリレー接続端子

サーマルリレーは通常c接点であることが多く、その反応時(異常時)は動作回路を遮断するためにb接点を利用し、異常の発報としてa接点を利用します。

5)補助接点端子

電磁接触器の補助接点と同じ扱いになります。接点定格電流を含め、選定や交換の際は要注意です。

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4.電磁継電器

電磁継電器とは電磁力により接点を開閉させる制御部品です。電磁接触器とよく似ていますが制御回路用に特化したもので主回路での使用は想定されておらず、主接点という概念はありません。そのため一般的には接点の通電許容電流(接点定格電流)は低いです。

ただ、電磁接触器と違い標準的にa接点端子とは別にb接点の端子が用意されていたり、a接点とb接点を組み合わせたc接点をもっていたりします。

リレーシーケンスとよばれる制御で非常に多く採用されます。というよりリレーシーケンス回路の主構成部品です。

動作原理としては電磁接触器とほとんど同じ構造ですので、コイル部分と接点部分から構成されています。

1)コイル接続

電磁接触器や電磁開閉器のコイルと同じ意味合いのものです。コイルに印加する電圧がDC24[V]などの低い電圧で動作するものもあります。

2)接点端子

電磁継電器では小型のものでは特にc接点による構成になっているものが多く見受けられるようです。接点のコモン(common)側を一次側にするか、二次側にするかは設計によります。

また接点数も1点〜4点など様々ですので設計仕様に見合ったものを選定します。

電磁継電器では特に接点定格電流が小さなものが多いので間違って大きな電流を通さないようにしましょう。

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5.電磁力利用の接点機器

ここまで、電気/電子部品のうち主に制御回路で用いられるもの、更にその中でもON/OFF動作のものについて説明しました。これらだけでも使いこなせれば、かなりの設計幅になります。負荷機器が何であれ電圧や電流に気をつけながら利用することで思いどおりに動かすことが可能となります。

冒頭でも述べていますが、結局自己保持回路の知識が大いに必要とされることとなります。電磁力を利用して接点を動作させるということは必然的に自己保持回路につながっていくということなのですね。もちろんオルタネイト(反転)動作のスイッチを利用することでも持続的に動作させることは可能ですが、それでは電磁力を応用した接点機器の利用価値が半減してしまいます。この記事で説明している配線接続方法は自己保持回路を利用したものになっていますので、是非今後のためにもここで紹介している接続例の理解をおすすめします。

そしてこのあとに紹介,説明する部品を利用することで設計できる幅がさらに柔軟に広がります。

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