1.論理回路
論理回路というのは「0」「1」や「真」「偽」または「ON」「OFF」の2値を組み合わせ論理演算を実行することで出力を制御する回路のことです。現在はコンピューター内部でかなり複雑に組み込まれ更に記憶媒体と組合わさり利用されています。
しかしこれ、実はシーケンス制御でも基礎として扱われています。入力部でスイッチやリレー接点を同じように組み合わせ出力を制御できます。
リレーシーケンスの話から少し後退するように感じますが、自己保持回路と組み合わせることで制御の幅がグンと広がりますので是非基礎部分だけでも理解したいところです。
では、その基礎部分を具体的にシーケンス回路としてスイッチを使ってみていきましょう。ちなみに、今から解説する上でスイッチのON,OFFがでてきますが、これについては「ON=スイッチが押されている」,「OFF=スイッチが押されていない」と考えてください※ここはとても重要です。
1)AND回路
a接点のスイッチ1(SW1)とスイッチ2(SW2)のどちらもON(「1」たは「真」)のときのみに出力される(ランプなら光る)という回路です。
どちらもONである必要がありどちらが欠けても出力はされないことから乗算(掛け算)で表現されます。
2)OR回路
a接点のSW1かSW2のどちらかがON(「1」たは「真」)のとき出力される回路です。
出力するためにはどちらもONである必要は無く、かといってどちらもONでもよい回路です。和算(足し算)で表現されます。
3)NOT回路
SW1がON(ここでは入力としては「0」または「偽」となります)で出力がOFF、SW1がOFF(ここでは入力としては「1」または「真」となります)で出力がONになる逆転回路です。
先のAND回路やOR回路の概念と組み合わさることで条件幅が広がります。後述のNAND回路やNOR回路で解説します。
4)NAND回路
AND回路とNOT回路の組み合わせです。b接点のSW1とSW2がいずれもON(入力としては「0」または「偽」)のときのみ出力がOFFになる回路です。
シーケンス回路上での配線接続がANDと違うことに注意が必要です。
5)NOR回路
OR回路とNOT回路の組み合わせです。b接点のSW1とSW2のいずれかがON(入力としては「0」または「偽」)のとき出力がOFFとなる回路です。
これもNAND同様シーケンス回路上での配線接続がORと違うことに注意が必要です。
2.タイマー回路
タイマーとはその名のとおり時間計測をするものです。その表現は設定時間の経過後、接点にて出力をするというものです。リレーに時間計測機能が付加されたものと考えてください。
タイマー回路はある信号が入力され時間を計測した後、出力をしたり別の入力をするシーケンス回路のひとつです。制御を構築するうえでこの考え方は避けて通れないものとなっています。明確な時間計測の他、チャタリングという意図しないON,OFFの連続入力の防止の他、信号入力タイミングや短時間保持による制御上のバグ(意図しない動作不具合)解消にも役立っています。
以下の図で使用しているタイマーはそれに対する電源入力が同時にカウントダウンスタートとなり、電源を断つとリセットとなるタイプのものですが、ものによっては電源とは別にカウントダウンのスタート信号を要求するものやリセット信号を要求するものもあります。
1)オンディレイ回路
オンディレイ回路とはある信号が入力されてから指定の時間が経過したのちに出力する回路のことをいいます。ディレイとは遅延動作の意味です。
自己保持回路と組み合わせない場合は長押し動作(保持無)、組み合わせる場合は単純遅延動作(保持有)になります。
2)オフディレイ回路
オフディレイ回路とはある信号が入力されてから指定の時間が経過したのちに出力が断たれる回路のことをいいます。下の図はSW2を長押しすることで停止する回路です。
以下の図はSW2のワンショット後つまりSW2を押して離した後にタイマーが働き、遅れてランプが消灯する回路です。
3.カウンター回路
カウンターもその名のとおりカウントをするものということです。特定の信号入力が何回あったか、指定回数に達しているかいないかで出力の有無を決定する回路となります。
一般的には計器としてカウンターを挿入し、その計器に回数を指定し入力カウントをさせたうえで出力を決定します。
通常はタイマーのように専用の計器を使用しますが、現実的には少ないカウント数ならばリレーにより無理やり同じ動作の回路を作製することも可能です。
1)リレーによるカウント回路
前述にあるとおりリレーで入力数をカウントする回路は作製可能です。現実的には10回以下の入力回数ならばなんとか可能かと考えます。10回のカウント数を超えてくると必要とするリレーやランプの数や配線をするための工数的にはそのパフォーマンスが大きく下がります。
下にリレーによる5回のカウントをするシーケンス回路図面を載せています。
以下の図ではカウントアップによる出力も「5」で固定となっておりそれ以上を数えることは不可能です。
たった5回の入力をカウントするために多くの部品(リレー,ランプ)を必要としさらに多くの配線接続を必要としますが、後述のカウンタという計器を利用する場合は非常にシンプルな回路になることが理解できます。
2)カウンター回路
先のリレーによるカウント回路に比べるとかなりシンプルな配線になっていることが一目瞭然ですね。さらにカウンターを使用することで設定値を容易に変更可能となり、その利便性は非常に高くなります。
図中で使用しているカウンターはカウントパルス入力に無電圧接点(ドライ接点)を使っています。筆者は普段、有電圧,無電圧問わず1カウントを認識してくれる計器においては電圧の無い信号をカウント用として使用する設計をしています。
4.入力に対する出力はどうなるのか
以上、かなり基本的な論理回路からタイマー,カウンターの基本的な配線について説明しました。「AND回路」や「OR回路」などはリレーシーケンス回路やPLCラダーを設計するにあたって、経験値が上がるともはや意識することなく使用する回路となりますが、その接点状態でどのような出力になるのかは常に意識しておく必要があります。そして正確に把握しておかなければいけません。いち早く慣れてしまいましょう。
また、「タイマー」や「カウンター」においては詳しい配線接続方法を以下の記事にまとめています。
これらの計器は使いこなせば大きく設計の幅を広げることができますし、何か異常が起きたときや制御変更改造時の保全力も左右します。是非きっちりと基礎からおさえていきましょう。