電験三種体験談〜合格まで〜

電力と制御の体験記

1.電験三種ってなに?

筆者が「第三種電気主任技術者試験」通称「電験三種」という電気の分野での試験を知ったのは約15年程前でした。

この資格は「事業用電気工作物の工事,維持及び運用」に関する保安監督が可能となる資格です。

この資格を知ったばかりのときは、「難しい電気の試験がある」くらいのイメージでした。それにまさか自分が挑むとは思ってもいませんでした。

筆者は元々、生物及び化学を専攻しており、その勉強の中では電気の話が頻繁に出るはずもなく別の世界のことくらいに考えていました。

ただし機械、特に自動で制御されているものにはかなり興味がありました。実は生物や化学の専攻も、機械,電気の専攻に漏れて選んだ分野ということもあり、社会人になっても機械いじりは好きでした。

ですので、ある日「やっぱり興味のあることを仕事にしたい」という考えから「設備保全」という職種に飛び込みました。そこで、自動機の動作メカニズムなどを教わりトラブルを解消していく中で「やっぱり制御って面白い」と感じるようになっていました。

2.きっかけは「悔しさ」

ただ、筆者を電験三種に駆り立てたのはその普段の業務によるものでした。当時若かった筆者の保全に関する意見はいつも後回しでした。悔しかった筆者はなんとか目に見える形で自分の能力を示したいと考えました。

なんて不純な動機でしょうか。負の方向の原動力にも程があるとも思いました。「そんな精神性のやつに成せることなんてあるのか」と自問自答を数日繰り返した結果、

「やってみて、やれんことはない!!」

と、早速「参考書」という形で行動に出ました。

3.どうもやる気が伴わない

先ずは電気のための数学について書かれた本を購入。ある程度はわかっても、少しレベルが上がるとちんぷんかんぷんでお手上げ、そして休憩、いったんやめる。これを数回ループするうちとうとう手をつけなくなりました。

4.本に怒られてる?

ただ、手を付けなくなっても狭い家の中ではどうしても目につく位置に、買ってきてほとんど活用していない本があります。なんかイヤです。

「活用しろよ…」と言われてる気分です。筆者の中でなにかの葛藤はあったのでしょう。

「純粋に楽しみ人生を幸せに生きるための混じりっ気のない趣味」とは別の「悔しさから自分に課した目標」という位置づけのものを放り出して悔しさごと忘却の彼方に追いやってしまったとき、筆者は「真のダメ人間」になってしまう気がしてなりませんでした。

「なんとかしてこの妙な不快な状態から抜け出せないか、でも驚くほどの労力は掛けたくない。」

何だかダメ人間方向に加速しているようですがそれでも考えてみました。

5.歌はなんで覚えられる?

そうして考えた結果、ひとつの疑問が湧いてきました。

「好きな歌とかすぐ覚えて歌えるのに…なんで勉強や仕事ともなるとこんなに頭に入らないのだろう…」

薄らぼんやりした疑問を頭の中で上のような文字にしたとき、解決策が浮かんできた気がしました。

ほぼ毎日聴いてる」

「そうか!毎日取り組めばイヤでも覚えていつか理解するかも!」

「でも自分は怠け者だからハードルをグーッと下げて毎日やることのみに注力しよう!」

目標は「受かるまでやる!やめてはいけない!その代わり1日1問でいいから必ず毎日挑む!解けなくても解説をみて理解できなくても必ず行動として1問に挑む!

としました。

まるでステータスの無茶振りのような目標の立て方ですが、筆者の性格を加味した結果です。この目標設定に関しては筆者の性格もありますが、ひとつには「合格までの期限設定が無い」からできたというのもあります。もし、1〜2年以内に合格しなければならないという場合は、なかなかこのような目標の立て方にはならないのではないでしょうか。

スポンサーリンク

6.学習開始

ここからが筆者にとっての本当の意味での学習開始だったと感じます。

実際に始めたわけですが不思議と気分的には苦痛ではありませんでした。いや、苦痛なはずがありません。1日に課せられたハードルがびっくりするほど低いわけですから。

しかし案の定ともいうべきですが、どの問題に挑んでもこれまたびっくりするほど解けません。というより問題が何を問うてきてるのかすらわかりません。

問題文を読み終えた直後の筆者の反応は「は…?」でした。

「今はこんな状態かもしれないが必ず理解できる日が、そして自力で解ける日が来るはず!」

「なにもスーパーマンになるための試験に挑むわけではない。人間の理解の範囲のはず!」

問題に挑んでは解説をみて、解説をみてはネットや別の参考書に戻り、再び問題をみてみる。

過去問の1年分に対し上のようなサイクルをぐるぐる回す日々が続きました。

7.最初の変化

最初に変化に気づいたのはそれから3ヶ月が過ぎた頃でした。問題がスラスラと…というはずはありませんが、1日のうちで問題に挑んでいる時間が少しずつ伸びていることに気づきました。そして特に休日、勉強していないまま時刻が過ぎていくと焦りを覚える自分がいました。

このころには「自分は毎日休まず電気の勉強に取り組んでいる」ということ自体がひとつの自負になってきていました。決して知識やスキルレベルの躍進を感じたわけではありません。しかしもうこの習慣からは抜け出せないようになっていっていました。

8.次なる変化

そこからさらに2〜3ヶ月ほど経ったころついにやってきました!

「解説無しでの自力回答と正解」

その時、筆者の口から出た素直な言葉がこちら。

「っっ解けたぁっっ!!!初めて解けた!!!っしゃあっ!!!」

妻に叱られました。うるさいようでした。

でもそれくらい嬉しいことでした。そしてさらにその頃には日間学習時間は「平均約2.5時間」を超えていました。初めは10分でも脳が疲弊していたのに気づけば仕事を終えた帰宅後でも平気で1時間は問題に取り組んでいました。

9.加速!

そこからは加速の一途です。1問の回答スピードも上がり1日1問では全く勉強した気になれない、というより1日1問程度では電気に関する学力が上がったと感じられなくなっていましたので、更なる理解と記憶の定着を求め「もう1問、もう1問…」と進めることができるようになっていました。

来たる試験の日まで日々加速度的に自身が成長していると感じられました。

10.初試験

過去問も10年分を幾度も解き、安定的に80点超えができるようになり、解法も身についたと思われる頃、初めての試験の日がやってきました。

自信はありました。

そしていざ試験開始!

「あれ!?あれ??なんで???」

甘くありませんでした。1科目目の「理論」ですでに自信とやらを根こそぎもっていかれました。見たこともない問題のオンパレード。どこからどうアプローチしていいか全くわかりません。辛うじてアプローチした問題でも途中でつまづいてしまう有様です。

惨憺たる結果で試験を終えました。

結果は当然のごとく不合格。後の合否通知でおそらくギリギリでしょうが、確かに少し解けた感のあった「電力」だけが科目合格であったことを知ります。

あんなに勉強したにも関わらずこのような結果とは…難しいといわれるだけあります。

結果は自分がよくわかっていたので試験翌日からすぐに来年の挽回を誓い勉強再開です!

通称「電ドラボール」。携帯性と利便性が両立した逸品です!もちろん手締めも可能です。かさばらず作業性UP!!

11.もっと過去問を…?

勉強の方向性,方針をコロコロ変えたくなかった筆者は再び過去問中心の学習を続けました。合否通知を受け取ってからは「電力」の科目を省き、残りの3科目に注力しました。そのまま数カ月すると過去問ならばほぼ100点をとれるようになっていました。

そこでふと思いました。

「初見の問題は解けるのか?解けたとしてもどれくらいの時間を使うのか?」

過去問については類似問題ならほぼ確実に解ける自信がついていたのでここでようやく方針の調整。問題につまづいたときの追加学習用としてしか使っていなかったテキストの練習問題に挑んでみました。

すると、案外解けない問題が出てきました。やはり懸念は合っていたのです。

「真の理解に達していない」

そこで、筆者はいったん過去問から離れ今更ながらではありますがテキスト中心に切り替えました。ただ、時間が限られているのでテキストの1ページ毎を丁寧に読み込んでいくわけではなく例題から章末問題へと、各章を進めていきました。

そして2回目の試験日が近づいてきました。

12.やっぱり強いよ!

2回目、つまり2年目の試験。結論からいうと、前回ほどではなくとも今回もコテンパンにやられました。やっぱり強し「電験三種」。

ただ、進歩も見受けられました。前回はほんとに手も足も出ないような状況でしたが、今回は解けた実感のある問題もちらほらありました。もちろんほぼ初見の問題です。

結果はやはり不合格。敗けました。ただ、鬼門といわれる「機械」が合格していました。

もう少しです。おそらく射程圏内です!

13.チャンスをモノに!!

挑戦も3年目に突入し合格まで残り2科目。もう後には退けません。次の試験で不合格ならば「電力」をもう一度受け直し、更に翌年で不合格なら「機械」も受け直し…確実に有名な電験科目合格無限ループに突入するでしょう。絶対イヤです。

その年は必死でしたが同時に冷静でもありました。日々の学習を続けながら「予想問題集」を探しました。

書店でさら〜っとだけ目を通した中から、みたことない問題をたくさん掲載してくれていてかつ、解答を別紙や巻末にまとめてくれているものを探しました。そして厳選3冊に絞り購入しました。

これを試験の約半年前から毎週土日で、本番さながらに模擬試験しました。このとき本試験とは別の追加ルールがあります。実は過去問を解いているときの採点もこのルールを適用していました。

それは、「わからない問題にマークをつけない」です。実力を正確に把握するための鉄の掟です。

試験日までに初見で挑んだ予想問題集の平均は約70点前後でした。

直交流600[V]の電圧測定が可能なうえ、IV38[㎟]まで対応の電流測定用センサーがついて直交流120[A]の電流測定が可能です。

14.ドキドキの日

さあ、ついに3度目の試験の日がやってきました!試験会場に着く前から口は乾き目はおよぎ手足は震え…完全に冷静さを失っている状態でした。

「なんとか【三度目の正直】が発動してくれますように」

そんな思いも混じりながら試験開始!!震える手で「理論」に挑み始めました。

「え!?いけそう??」

なんとなく…なんとなくなんですが筆が進んでいる気がします。自信のない問題が2〜3問あったと思いますが当てずっぽうではなくちゃんと解いて答案用紙を埋めました。

次の「電力」と「機械」の科目は免除なので時間を持て余しましたが甘いものをたくさん食べてゆっくりとした時間を過ごしました。

「もう焦ってもしかたない」

そう考え、少し落ち着きを取り戻し「法規」の科目に挑みました。そしてすぐに青くなりました。

「話がちがう!」

「法規」では他に比べて計算問題の出題率が少し低いという情報をよくみていました。実際に過去問でもこの科目では計算問題は少ないように感じていました。

ところがこの年はもはや計算が中心ではないかと思われるくらいの内容でした。最初にみた問題のインパクトなどでそう感じただけかもしれませんが、再びパニックに陥りそうになりました。

鉛筆を走らせながら深呼吸をするという、なんとも妙な状態でなんとか解きつづけ答案用紙を埋めていきました。

15.解答速報

過去2回の試験では解答速報を見る気にもなれずすぐに翌年のための勉強を始めていましたが、今年は解答速報が待ち遠しく感じられました。

自己採点の結果は「多分大丈夫」。

はやく通知を見たい!!

16.ついに!

一応、勉強は続けていました。「電力」の科目も追加で。

WEBでの合格者発表がたしか一番早かったと記憶しています。発表の日は帰宅するやいなや即PCから自身の受験番号を検索しました。

「検索した受験番号は合格者の中にあります。」

たしかこんな趣旨のことばだったと思います。一瞬よくわからなくて拍子抜けしましたが、何度か間違っていないかを確かめるために検索してもやはり上の文言です。

次第に合格の実感が湧いていました!

「あ〜、やっと合格できた…」

実際喜びよりも安堵の方が大きかったのを覚えています。

翌日から1週間、自分へのご褒美として勉強はお休みとしました。

そしてしばしの休息のあと、凡人の挑戦は「エネ管の章」へと移り行きます。

コメント