アナログ出力センサー~様々な量を測る~

電気部品・電子部品
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1.自動制御と計測

自動制御を構築および運用するにあたって、センサーが重要な役割を担うということは以前の記事でも説明をしました。ただ、そこではON/OFFで制御系に出力を返すセンサーについての解説でしたが、今回は数値情報を表示器や制御系に与えるセンサーについて説明します。

いきなり、「数値情報を表示器や制御系に与える」と言われてもいまひとつイメージがわかない人もおられるかもしれませんので、そうでない場合(ON/OFFのみの信号を与える場合)と比較しながらアナログ出力ができるセンサーについて簡単に前置きします。

1)「量」を知りたい

どのように制御するかを別としてもセンサーからアナログの数値情報としての出力が欲しいのは、例えば重量や体積(液位)などを数値として知る必要があるときです。これらの数値は工業の場合、その多くが後の工程での調整のためのデータとして扱われます。また製品の最終の検査値としても扱われます。いずれにしてもこのような値を取得するにあたって、通常の秤やメジャーなどで直接的に測定することが不可能であることが多いためセンサーを利用することとなります。

まさにアナログでデータを出力できるセンサーの出番となります。重量ならば重量用、液位なら液位用、各々の目的に見合ったセンサーを使用することで欲しい値を電気信号として取り出すことが可能となります。そして取り出したデータは制御系での利用にも、何かの証明用としての利用にも役立てることができます。

2)制御対象の環境や状況を知る

なにかを制御しようとした場合、その制御系に制御対象の環境や状況を数値で知らせる必要がある場面というのは多く存在します。このような場面ではマイクロスイッチやフォトセンサ―などのON/OFFの二値化レベルでしか出力できないセンサーは仕様に見合わないということになります。

皆さんご存知のエアコンを例に挙げます。エアコンの制御系は、コンプレッサーをどれくらいの回転数で運転したらよいのかに関してその度合いを決定するために制御対象空間の温度を知る必要があります。この場合に必須となるのは「温度計」であることは容易に想像できます。

しかしながらサーモスタットのような機器で、温度センサーからの温度データを設定値基準でON/OFFの二値化に変換して出力させてしまうと、エアコンの制御系はコンプレッサーの「100%運転」か「0%停止」のどちらかしか選ぶことができなくなってしまいます。

こういう場面でエアコンの制御系が欲しいのはまさに「温度の数値情報そのもの」になります。サーモスタットでON/OFFに変換される前の温度センサーからの値ということです。

各種アナログセンサーは制御系が要求する数値情報(上記エアコンでいえば温度を表す数値情報)を電気信号として送信することができるものでなければいけません。これが「数値情報を制御系に与える」という動きになります。

3)ON/OFFだけでは満たせない

引き続きエアコンを例に説明をします。

上記に述べたようなONかOFFかの制御で、例えば温度制御が不可能かといえばそうではありません。実際にはON/OFFの制御で温度調節を実現している系(プロセス,システム)もあります。しかしそれはそれでも問題ない系の場合であって、もっと精度よく制御しなければならない場合も多々あり、そのためには温度の情報を細かく取得する必要があります。

エアコンも細かい温度情報を要求する制御系で成り立っています。もし、各家庭で使用されているエアコンがサーモスタット利用時のようにON/OFFのみでの制御の場合、どのような室温の変化が予測されるでしょうか。

夏場で考えてみます。設定温度を25[℃]とした場合で考えるとおそらく、室温が25[℃]を超えた時点でコンプレッサーはフル回転します。結果かなり冷えた空気(18[℃]程度)が室内に送り込まれることとなります。室温が設定の25[℃]を下回るまでこの状態は続きます。このときエアコンの周囲に非常に冷たい風が送られます。風邪をひくレベルです。そしてやっと測定ポイントでの室温25[℃]を下回った時点でエアコンはパタッと動作をやめてしまいます。体感温度で室内が少し暑いと思ってもエアコンが動作するのはあくまで測定ポイントでの室温25[℃]以上です。それまではうんともすんともいいません。これを延々繰り返します。極端に冷えていく状態と暑く感じる状態を延々と繰り返すのです。全く快適そうではありません。

また、絶妙な温度設定値や部屋(測定ポイントなど)の工夫で機敏にON/OFFしてくれるようにできたとします。部屋の温度としては快適かもしれません。しかしエアコンのコンプレッサーは頻繁にON/OFFを繰り返すこととなります。結果、電気エネルギーを余分に消費した挙句に早々に機械的寿命を迎えることが簡単に予測できます。

このような状態から逸脱するためにアナログでの情報を出力できるセンサーが必要になります。もちろんアナログデータを受け取った制御系がこれに対応していることが前提となります。

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2.数値としての出力

前述のとおり、アナログ出力センサーは工業においては特に欠かせないツールとなっています。

そしてこれらのセンサーは種類によって目的に見合ったものを使用しなければならないとも述べました。このことについてはその必要性に応じて計測可能なセンサーがあるかどうかから調べる必要があります。

更にこれらセンサーの電源や出力のしかたについてもしっかりとおさえておく必要があります。まずはこのあたりについて説明します。

1)センサアンプと電源

アナログ出力センサーには「アンプ」と接続して、セットとして使用するものがあります。この場合、検出部のことを「センサヘッド」アンプを「センサアンプ」または「アンプユニット」と呼び分けることもあります。

アンプは「増幅器」と訳され、センサヘッドからの信号を変換増幅することが主たる目的となります。なかにはアンプ内蔵型のものもありますがいずれにしてもセンサーとしての役目を完結させる目的としてアンプと連動するものが多く存在します。

各種センサーの心臓部となるセンサヘッドは、その目的によって使用される材料も測定原理も異なります。ということは発信する信号も異なるということです。これでは受け手側となる制御系などで多岐にわたるユニットを用意する必要があり、さらにパラメータの設定も非常に煩雑となります。制御系などに対する組み込みのしやすさはそのまま利用価値の高さということになりますのでセンサー側でのある程度の信号統一に関する役目をアンプが担っています。

センサアンプにはもうひとつ、電源種別をある程度統一してくれるという特徴があります。筆者がこれまで使用したセンサーのアンプは原則、DC12~24[V]電源で動作するものがほとんどでした。というより、センサアンプにAC100[V]などの電源配線を接続した記憶がありません。なかにはAC/DC24~240[V]のような幅広い電源で使用可能なものもありますが、標準的ではないようです。

いずれにしても、たとえセンサヘッドでは非常に小さな定格の電源電圧であったとしても、センサアンプを介することで使用者は電源電圧の詳細を意識することなく、基本的にはDC12[V]やDC24[V]の電源を用意しておけば問題ないということになります。もちろんDC5[V]を要求してきたり、まさかのAC電源を要求するかもしれませんので、ここはある程度わかっていても確認しておく必要があることは言わずもがなです。

とはいえ産業用途のセンサアンプではやはりDC24[V]などを用意して動作させることがスタンダードであるといえるでしょう。

センサアンプのおかげで入力電源や信号出力が統一され、選定が非常に簡素化されます。

しかしながら、センサーの利用において取扱説明書や仕様書から周辺で必要となる機器や接続方法の調査は必須となります。仕様のなにもかもを考慮から除外できるというわけではありませんので誤解,混同の無いように注意してください。

2)出力信号の種類

センサーはその種類や用途また選定型式によって出力する信号が異なります。アンプの無いアナログセンサーとして熱電対やひずみゲージなどがありますが、これらは種類と型式または印加電圧などで出力が変化します。仕様書や取扱説明書または回路図の理解が必要であることは前述と同じです。

センサアンプがセットになる場合はこれが大きく簡素化されます。実務においてもまず代表的で頻出であるのは「4ー20[mA]」や「1ー5[V]」の直流出力信号です。この他にも「0ー16[mA]」「0ー20[mA]」「-10ー+10[V]」「0ー10[V]」があります。必ずセンサー側と制御系がマッチするように選定する必要があります。

筆者は基本的に「4ー20[mA]」を起点として選定します。理由としては定電流出力であれば距離や線種による電圧降下の影響が緩和されるのと、シャント抵抗という「250[Ω]」の抵抗器で「1ー5[V]」へ変更することが可能であるからです。

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3.各種アナログ出力センサー

アナログによる出力をしてくれるセンサーにはどのようなものがあるのでしょうか。以下に説明します。筆者もここで説明するセンサーを、紹介するものとは異なったとしてもひととおり使用した経験がありますが、現代の技術では基本的な要素であればどのようなものでもセンサーで計測可能であるように考えられます。

1)温度センサー

温度情報を電気信号へ変換するためのセンサーです。

代表的なものに「熱電対」というものがあります。熱電対は線状の異種金属(異種金属導体)の両端を接続し、その両端に温度差を与えると金属導体間に起電力(電位差)が生じるという現象を利用したものです。これを「ゼーベック効果」といいます。熱電対は別名「サーモカップル」とよばれます。

また、これ以外でよく利用されているものに「測温抵抗体」というものがあります。これは金属(導体)の電気抵抗が温度により変化することを計測に利用したものです。調節計などの制御系機器と合わさって抵抗器のブリッジ回路である「ホイートストンブリッジ」を形成し、測定対象の未知抵抗間に生じる電位差を測定することで温度情報の検出を実現しています。

温度制御機器で非常に有名な八光電機製の熱電対です。最もよく使用されるKタイプのほかにRタイプやBタイプもあります。

2)重量センサー

「ひずみゲージ」や「ストレインゲージ」とよばれる検出器により重量測定を実現するためのセンサーです。金属に外力が加わることで生じるひずみと、それに対して比例的に変化する電気抵抗の値を測定することで重量情報の検出を可能にしたものがひずみゲージです。測温抵抗体同様、ここでもホイートストンブリッジ回路が利用されています。変化した電気抵抗値は電位差として測り取られることとまります。

重量計測のためのシングルポイントロードセルです。A&Dはマルチメータでも有名なメーカーです。オムロン製他の重量調節計などと組み合わせて使用します。

3)流量センサー

流量センサーでは流体の瞬時流量や積算流量の測定に用いられます。

流量の測定には非常に多くの高度な技術が用いられています。

よく聞くところでは「渦流量計」があります。これは配管などの流体の通り道に特定形状の柱を設け、これにより発生した「渦(カルマン渦)」の発生数を計上するという方法です。カルマン渦は流量が多ければ多いほど多数発生します。

「熱式流量計」は、流体が発熱体を通過した際に奪う熱量により直接的に流量を計測します。別の方法として、発熱体で流体に温度的なマーキングを施し下流の定位置に配置した温度センサーがその温度マーキングを検出する時間により流速を測定し、この値をもとに流量を計上するという方法もあります。

非接触方式のもので最近利用が増えているものとして「超音波式流量計」があります。これはセンサーから超音波を発振し、反射した超音波が流体によってどれくらいの変位(位置ずれ)で返ってくるかを読み取り、そこから計上される流速をもとに流量を測定するというものです。

そしてこの他に、「コリオリ式流量計」「差圧式流量計」「電磁式流量計」があります。

化学プラントで多く使用されているサーパス製の流量計です。紹介の微小流量計から大容量の流量計までラインナップが揃っています。瞬時流量のアナログ出力と積算流量パルス出力の機能が備わっています。

4)圧力センサー

圧力センサーの目的は名前のとおりタンクや配管内の圧力を測定することが目的です。

圧力センサーは重量センサーと技術的には似ています。

圧力の検出部にはひずみゲージが使用されており、やはりホイートストンブリッジ回路が組まれています。実際に圧力を受ける部分、つまり受圧部には「ダイヤフラム」という膜構造を設けています。このダイヤフラムが受ける圧力により生じるひずみをひずみゲージにて電気信号へ変換し計測します。

化学プラントで多く使用されているサーパス製の圧力計です。負圧から正圧まで幅広く計測可能です。もちろん他のラインナップも豊富です。非常に小型でラインへの設置も容易です。

5)レベルセンサー

レベルセンサーはタンク内などの液面を測定する目的に用いられます。このレベルセンサーにも非常に多くの種類,技術があります。

「フロート式レベルセンサー」は連続的に抵抗器とリードスイッチが組み込まれたロッドと、ロッドをスライドするマグネット付きのフロートによって構成されます。フロートの接近によりリードスイッチがONして導通ることで抵抗値が変化します。これによりレベルが測定できるという原理です。

「超音波式レベルセンサー」は超音波を発振し、反射して返ってくるまでの時間を測り取ることで液面までの距離を測定します。

「レーダー式レベルセンサー」ではマイクロ波、「レーザー式レベルセンサー」ではレーザー光を各々照射し、上記超音波式レベルセンサー同様に反射して返ってくるまでの時間を測り取ることで液面までの距離を測定します。

「差圧式レベルセンサー」は圧力センサーの応用です。タンク内の液圧を圧力センサーで測定し、その結果を液面からの深度として計上します。

見つけてしまいました。筆者は使用経験がありませんが、価格に魅力ありです。全体的に非常に高価な超音波レベル計ですがこちらは比較的安価になっています。超音波機器を専門としているメーカーの製品であることから信頼性は高いのではないでしょうか。

6)変位センサー

変位センサーは被測定物までの距離計測する目的のセンサーです。また、被測定物のセンサーによる寸法測定も実現しています。

変位センサーとして代表的な、測長に使用する変位センサーではレーザー光を被測定物に照射し、反射光の角度すなわち反射角によりその距離を測定するというものです。この測定原理を三角距離方式や三角法といいます。

距離や形状を検出する目的のセンサーです。物質との距離やその変化を検出することで様々な制御に応用可能です。

距離や形状を検出する目的の変位センサーと組み合わせて使用するアンプとなります。センサーが検出した信号を制御系に伝達可能な信号に変換する目的があります。

7)その他センサー

現在では他にも様々な技術を用いて、いろいろな測定が可能となっています。濃度や振動,騒音などもセンサーによる測定が可能です。センサーやアンプをしっかりと選定することでこれらの情報も制御のきっかけとして取り込むことが可能です。

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4.制御系での利用を考える

ここまで、各種のアナログ出力が可能なセンサーについて説明しました。少なくとも概要については理解してもらえたのではないでしょうか。

しかし、これらのセンサーの動きを理解しただけではいまひとつ役に立ちません。センサーから得た情報をもとに何かを変化もしくは維持するなどのアクションがとれてはじめてその情報が役に立つということです。

ではそのためにはどのような方法をとらなければならないのでしょうか。以下に説明します。

1)調節計で取得

アナログの信号による制御とモニタリングを得意とする機器に「調節計」があります。一言で「調節計」と言ってもその種類はいくつかあります。とは言っても多用される型というのもある程度絞られてきます。ここではその仕様に関する例をいくつか挙げ、簡単に説明します。

①温度データを受け取る

調節計を代表する、温度データを受け取ることが可能な制御器です。調節計を「温度調節計」と銘打って商品化しているメーカーもあるくらいです。

その多くが熱電対や測温抵抗体に対応しています。

調節計内部のパラメータにより入力信号種別としてどの温度センサーからデータを受け取るかを設定するものが多いです。ですが、型式選定の時点で指定しておかなければならないものもありますので要注意です。

①温度データを受け取る

調節計を代表する、温度データを受け取ることが可能な制御器です。調節計を「温度調節計」と銘打って商品化しているメーカーもあるくらいです。

そしてその多くが熱電対や測温抵抗体に対応しています。

調節計内部のパラメータにより入力信号種別としてどの温度センサーからデータを受け取るかを設定するものが多いです。ですが、型式選定の時点で指定しておかなければならないものもありますので要注意です。また、熱電対だけでも「K」「B」「R」など温度域によって選択肢が多く、加えて測温抵抗体には「Pt」と「JPt」があります。結線したあとのパラメータ設定も間違いの無いようにしましょう。

②重量データを受け取る

重量の情報をロードセルから受け取る場合、専用の調節計が必要になります。その理由はロードセル自体が一定の電圧を要求することにあります。キログラム(kg)クラスを測定するような重量測定用のロードセルはセンサーにしては比較的大きいものです。内部に組み込まれた回路(ホイートストンブリッジ回路)もDC10[V]などで動作するものであったりと、電気的にもセンサーにしては大きい(高い)です。

よって対応する調節計はロードセルへの電力供給が可能でなければならないこととなり、結果専用の調節計となるわけです。ロードセルに対しての電圧印加とロードセルからの信号との配線を間違えないように気をつけてください。

③「4ー20[mA]」「1ー5[V]」などのアナログ信号で受け取る

アナログ出力のセンサーを使用する場合、最も多用するであろう信号です。重量などの専用の入出力形態をとるものを別として、多くの調節計では「4ー20[mA]」や「1ー5[V]」などのセンサーからの信号を受け取ることが可能です。一定の範囲内ならば電流電圧問わずマルチに受け取ることができるものもあり、この場合はレンジ設定などで発信側に合わせることが可能です。

この場合でもやはり、配線と調節計内部設定(パラメータ設定)に矛盾が生じないように注意が必要です。

2)PLCで取得

近年、PLC技術の発展も目覚ましく特にここ最近では通信を含めた信号の授受においてPLCがあれば他の機器を必要としないほどになっています。アナログデータもこの例にもれず、様々な信号に対応可能なユニットがリリースされています。

以下に簡単に説明している各種ユニットをPLCのCPUと接続し付加機能として使用しますが、それらの入力などに関する設定、つまりパラメータの設定はPLC専用ソフトから実行します。

①温度データを受け取る

一般に「温度入力ユニット」よばれるユニットで温度データを取得します。調節計同様、熱電対や測温抵抗体に対応しており、その接続も調節計とほぼ同様となっています。

調節計と異なるのは「チャンネル(ch)」という考え方があり、選定型式により差はあるものの1ユニットで4[ch]程度が使用可能です。つまりこれは1ユニットで4か所程度の温度測定及び制御が可能であるということです。

②重量データを受け取る

PLCで重量データを受け取るユニットに関しては、最近まで筆者も知りませんでした。ロードセルが制御の系に入ってきた場合、重量調節計が必須であると考えていましたがPLCにも重量データを取得するためのユニットが存在します。「ロードセル入力ユニット」とよばれるものです。

筆者が知り得た情報では三菱電機製の「Q61LD」が他のユニットと同じようにPLCベースに取り付けて使用可能です。ロードセルへDC5[V]を印加し、6線式接続になります。チャンネル数は1[ch]ですが、PLC間に挿入される機器が1つ削減可能でかつアナログユニットのチャンネルひとつの消費を抑えることができるのは大きなメリットです。

③「4ー20[mA]」「1ー5[V]」などのアナログ信号で受け取る

アナログ出力のセンサーを使用する場合、最も多用するであろう信号であることは調節計の場合と変わりありません。PLCに接続されるユニットとして「アナログ-デジタル変換ユニット」や略号で「AD変換ユニット」とよばれます。似たものに「デジタル-アナログ変換ユニット」や「DA変換ユニット」がありますが、こちらはPLCからアナログデータの出力になります。間違えないように注意が必要です。

これらのユニットではもちろんですが「4ー20[mA]」や「1ー5[V]」などのセンサーからの信号を受け取ることが可能です。基本的には一定の範囲内でマルチに受け取ることが可能であり、パラメータ設定で発信側に合わせます。温度入力ユニット同様、複数チャンネルを備えています。1台でおよそ2~4か所のデータを取得することが可能です。

配線と調節計内部設定(パラメータ設定)に矛盾が生じないように注意が必要であることは他と変わりません。

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5.センサアンプの有無について

アナログのセンサーとそのデータの取得方法について説明してきましたが、筆者にはこれまで疑問がありました。

「全てのセンサーにアンプを接続し、「4ー20[mA]」などの信号に統一してくれたら楽なのに・・・」

という疑問です。

これに関して、これまで種々のセンサーを触るうちに筆者なりに導いた回答を記載します。筆者はセンサー設計をしたことはなく、あくまでユーザーとしての立場からの意見ですので、もしかしたら間違っているかもしれません。ですがここで述べることが皆さんのセンサーや制御系機器の選定に役立てばと思います。

①センサヘッドから出力されるのは電気信号かどうか

センサヘッドから出力される信号が電気信号でない場合、得られた情報を演算し電気信号に変換する必要があります。例えば機械的な回転力や超音波などがセンサヘッドで得られる情報である場合、センサアンプはそれを演算したうえで制御系が求める信号の範囲へ増幅します。

検出部からそもそも電気信号が発信されない場合はセンサアンプの出番であるということになると考えられます。

②センサヘッドからの信号が制御系で受け取れる範囲に入っているかどうか

センサヘッドなどの検出部には様々な種類があるということを記事中で述べました。この検出部からの信号がある一定範囲内の電気信号である場合センサアンプが登場することはありません。例えばK熱電対ならばその信号は±数十[μV]~数百[mV]の範囲です。これは制御系の機器で充分に処理可能な信号であるということです。

このような場合にわざわざセンサアンプで信号を再処理する必要はないと考えられます。逆を考えると、検出部からの信号が微弱すぎる場合などはセンサアンプの出番となる可能性は高いのではないでしょうか。

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6.仕様を理解して目的を達成

以上、数あるセンサーのうちアナログで出力をするものについて説明をつづけてきましたが、これらを使いこなすためには「①何を測り取り」、「②どのような機器を介して」、「③どのような信号を出力するのか」を理解しておく必要があります。

これらの情報は必ず「仕様書」や「取扱説明書」に記載があります。必ず目をとおし理解しておかなければ思わぬ落とし穴にはまってしまいます。似たような型式であってもその後ろに付随する記号(サフィックス)の少しの違いで測定対象が違っていたり信号の形態が違っていたりなど、測定や制御に影響する場合がありますので特に注意が必要です。

なかには、測定原理を理解して選定しなければ測定対象を検出できないといった場合もあります。このようなときに上記の「仕様書」「取扱説明書」の理解が如何に大切か痛感します。

このことはなにもセンサーについてのみに適用されることではありません。何かの機器を利用する場合、それがどのようなものなのかをよく理解したうえで選定,導入するように心がけましょう。