1.メーターリレーとは
メーターリレーとよばれる計器はその種類がいくつかあります。
この制御機器は上限や下限を設定することが可能でその値を超えたり下回ったりすることで、接点状態を変化させて制御を変えることができます。
似たような機器に調節計というものがありますが、こちらはきめ細かな調節,調整を必要とする場合に用いられます。反面、メーターリレーは細かな調節には向いていません。具体的にはPIDによる制御の機能などは原則として付加されていません。もちろんON/OFF制御程度なら問題ありません。メーターリレーの使い方としては警報計としての意味合いが強いように感じます。
実際に電流値や液面の上下限に対する停止動作また警報発報などその他諸々を制御するために多用されます。
2.メーターリレーの種類
冒頭にあるようにメーターリレーにはいくつか種類があります。その中でも筆者もよく使うものを二つほど紹介します。
1)電流測定タイプ
メーターリレーというと画像のようなものが真っ先に出てきます。もちろん電圧測定とリレーが組み合わさったものもありますが多用されるのは電流測定のタイプではないでしょうか。その理由としては電流値が電気的負荷の増減に応じてリニアに変化することにあると考えます。
具体的な使用例としては、ポンプにおいて容器内の液体を送り切り空転をし始めたとき、そのモーター内で大きく電流値が落ちたり戻ったりを繰り返す特性を利用し、メーターリレーに検知させることでポンプの空転状態での長時間運転を防止するというような使い方などです。
電気回路的には、自己保持回路を遮断しにいくように配線します。
ただし、上記のように電流値を監視する場合、もともと始動前は下限設定を下回っており回路遮断状態であり、また上限も設定する場合その対象がモーターなどであれば突入電流という瞬間的な過電流があり、起動できてもすぐに遮断信号が入ることになってしまいます。
これを防止するためタイマーで起動前から起動直後数秒間はメーターリレーの挙動を無視するという回路を組む必要があります。
2)バーグラフタイプ
バーグラフで現在値を表示するタイプのものは入力信号を原則0〜100[%]で表現する形となります。汎用性と視認性に優れ、制御対象がどのレベルにあるのかが感覚的にわかりやすくなっています。
3.接続
メーターリレーの接続方法について説明します。「動作電源」「信号入力」「接点出力」があります。
1)電源
いろいろな計器では電源を必要とするものが多くあり、メーターリレーもまた例にもれず電源を必要とします。信号用の入出力端子と間違えて接続しないように気をつけましょう。
2)入力
電流計型のメーターリレーは入力信号として電流値を必要とします。バーグラフメーターリレーもアナログ信号という特定の範囲内の入力信号を必要とします。
つまり、これらメーターリレーはセンサーとなる信号発信機器と組み合わせて使用されるということです。
仕様に従い電流値入力端子やアナログ信号入力端子に接続する必要があります。
3)出力
メーターリレーの出力は接点によるものです。多くはc接点を搭載しているようです。設定値を超えたり下回ったりしたときに回路を遮断するのか、警報を出すのか等でどのように接続するのかを考慮に入れておくべきです。
当然のことながら接点容量には気をつけましょう。
3.メーターリレーとその他の部品の使用例
この記事内で説明しているメーターリレーの使用例を、これまでの知識を総動員してシステムの中で図とともに解説します。
実は、これまで説明しました制御のカテゴリーの知識をフル活用すると以下に記載する程度の制御なら簡単に組み上がってしまいます。もちろんここに挙げる内容はまだ改良の余地のあるシステムですが、充分に実用の範囲内です。
このなかでまだ紹介,説明をしていないのはレベルセンサーと変流器くらいです。これらについても後々必ず説明しますが今回は電流測定に必要なものおよび液面測定に必要なものくらいに考えてください。
前置きが長くなりましたが、説明を開始します。
1)フロー図
いろいろな制御設計を実施するにあたって基盤となる構想図です。通常はこれの他に制御仕様書や操作仕様書などがあります。どのような機器,設備をどのように動かしたいかを説明したものです。これが詳しければ詳しいほど実現精度があがります。
今回は簡単ですが以下のような図にて用意とします。
動きとしては以下の条件のとおりです。
①SW1でタンク内への受入を開始しメーターリレー2のHigh設定により受入を停止する
②SW3でタンク内から送液しメーターリレー2のLow設定で送液を停止する
③ポンプが過負荷や空転した場合はメーターリレー1で停止させる
④過負荷についてはサーマルリレーでも停止するが解除後の動作までは未考慮
⑤受入動作も送液動作も各々SW2とSW4で任意停止可能
⑥受入動作も送液動作も各々内圧保持のため大気解放弁を同時に開くこと
2)盤内主回路
1)で設備をどのように動かしたいかを決めたので制御盤内の設計に入っていきます。やはりなんといっても主回路で電源と主要負荷の動作ができるような準備が必要です。以下のような図が必要となります。
3)計器用電源
メーターリレーは電源を必要とすることは前述にもあるとおりです。他計器も電源を必要とするものが多くあります。以下の図では計器に電源を供給するための接続について記していますが、同時に接点出力も記載しています。後述の制御回路図と被る部分があることに注意が必要です。
4)制御回路図
負荷機器を制御するための図です。これまで説明してきたうちのいくつかの回路が登場しています。特に送液制御の回路では電流を制限するメーターリレーを扱う上で必須となるタイマーの使い方に注目してください。
電動機(モーター)の起動前でのメーターリレーの反応や起動直後に発生する始動電流を無視するようにタイマが差し込まれています。こうすることで起動後3[s](差し引き)までは電動機に生じる電流の挙動を無視して駆動することが可能となります。
また、ポンプを起動するタイミングは確実にバルブが開いてからということをねらい、0.5[s]の起動遅延をしています。バルブにリミットスイッチなどがある場合はそれを利用する方が合理的です。
受入制御ではメーターリレー2の上限設定で、送液制御ではメーターリレー2の下限設定で各々自動停止するように設計されています。
5)バルブ出力制御
ここではバルブの出力をひとまとめにして記載しました。ちなみにポンプの制御と出力は4)で記述の図面内にあります。MC1がそれにあたります。各バルブが受入動作時と送液操作時にOPENするように接続されています。これも基本的なシーケンス回路の知識で理解可能です。
4.広がる制御幅
以上、メーターリレーとそれを利用した制御回路について説明いたしました。
かなり設計らしいボリュームになってきたのではないでしょうか。この記事内で例に挙げたシステムは実はまだ改良の余地があったりします。例えば受入と送液が同時にできてしまうのでこれを防止する方法や送液停止時にポンプとバルブが同時に停止,閉止になるためウォーターハンマー現象(配管内を移動していた流体が急に塞き止められることで衝撃が生じる現象)がおこることを防止する方法も必要となる場合があります。各々、インターロック回路やオフディレイ回路で回避可能です。興味のある方は一度チャレンジしてはいかがでしょうか。
どうしても回避策が知りたいという方はお問い合わせフォームからご質問いただければなるべく速やかに回答差し上げたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!