PLCとは〜構成と使い方〜

PLCとタッチパネル
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1.PLCとは

PLC」は正式名称で「プログラマブル ロジック コントローラー」といい、産業特に工業利用に特化した制御機器です。

有名なものに「シーケンサー」と商標登録された三菱電機製のPLCがあります。あまりにもこの分野で有名なため登録商標であるにもかかわらず他社製のPLCですらシーケンサーとよばれてしまうくらいです。

通信の分野でもPLCというものがあり、こちらは電力用の配線を通信で利用する技術のことを指すようです。

ただ、ここでいうPLCはあくまでも産業用制御機器のことであり、これについての説明をしていきます。

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2.できること

当サイトでは制御のカテゴリー内で、リレーシーケンスや計器についての説明をしていきます。電磁継電器や調節計を用い自己保持回路を組み上げるなどをして自動制御に役立てるというものです。

PLCは上記のような実配線で組み上げる制御回路をプログラム化することで、より柔軟に設計することおよび、よりロジカルな保全対応が可能となるツールです。

大規模な制御回路を必要とする機器,設備において、電源や動力系,入出力や通信線などの外部機器に対する配線を除き制御に関わる配線や部品をプログラム内に収めることが可能で、省スペース化にも大きく寄与します。

また、僅かながら省エネ化も図れます。

PLCは信号受取り(信号入力),信号の受渡し(信号出力)および内部での条件処理や演算が得意です。これにより制御規模が大きければ大きいほどコスト的にも設計,製造の時間的にも有利になっていきます。

よくいわれているのは「入出力点数が合計10点以上になるとPLCを使用するメリットが出てくる」ということです。産業用機器で入出力点数10点未満はかなり少ないです。

つまり、かなり多くの場面で使用するメリットがあるということです。

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3.基本構成

PLCの構成を最低限必要な範囲で説明します。

1)CPU

CPU」は日本語で「中央処理装置」といいます。PC同様、PLCもここがコアとなる部分です。プログラムされた内容に応じて前述にもあります条件処理や演算を実行します。

2)入力ユニット

入力ユニット」とはPLCのCPUに外部からの信号を渡すためのユニットです。三菱電機製のFXシリーズやキーエンス製のNANOシリーズではCPUユニットと一体になっています。

ただ単に「入力ユニット」とよぶ場合は、一般的にビット入力のことと解釈されるようです。ビット入力は「1」か「0」、または「ON(導通)」か「OFF(非導通)」で判別される入力の種類のことです。

スイッチ(接点)と同様と考えてもらって差支えありません。

3)出力ユニット

出力ユニット」とはPLCのCPUが処理した結果を受取り、外部機器の動作のための信号を送り出すことを目的としたユニットです。このユニットもFXやNANOのシリーズではCPUと一体となっています。

更にここでも単に「出力ユニット」とよばれるものは、一般的にビット出力によるものと解釈されます。

4)アナログ入力ユニット

入力ユニットのアナログ信号版です。「4-20[mA]」や「1-5[V]」の信号を外部機器より受取りCPUに渡すことができます。

5)アナログ出力ユニット

これもまた、出力ユニットのアナログ信号版です。CPUからの数値化された結果を外部機器へアナログ信号として送り出すことができます。

6)温度入力ユニット

「温度入力ユニット」は温度入力のための専用ユニットです。

温度センサはその種類が多岐に渡り、またそれにより測定範囲も異なります。

専用の入力ユニットが用意されていますので気をつけましょう(最近ではマルチアナログユニット等温度を含む数種類のアナログ信号を受取ることが可能なユニットもあるようです)。使用の際の設定についても温度センサーと種類とユニット側の種類が必ず合致するように確認しておくべきです。

7)電源ユニット

「電源ユニット」はその名のとおり電源を供給するためのユニットです。三菱電機製のQタイプPLCなどでは別ユニットとなっていますが同メーカーのFXシリーズやキーエンス製のPLCでは一体型となっているようです。

型式によっては別で付与してもしなくてもよいという仕様の場合があり、電源ユニットを使う場合はユニットにAC100[V]を、使わない場合はCPUの電源端子にDC24[V]を各々印加するという使い方になるようです。

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4.PLCタイプ

PLCには大別して二つのタイプがあります。一つは「パッケージタイプ」と、もう一つは「ビルディングタイプ」です。各々の特徴について説明します。

1)パッケージタイプ

総じて小型のPLCになります。特徴としては入出力ユニットと一体型になっている場合がほとんどです。アナログ系の信号を扱わない場合や入出力点数が10点程度の場合などでは購入の際にその仕様を考慮する必要がなく、直ぐに設計に組み込めるお手軽さが長所です。もちろんビット入出力ユニットをはじめアナログに関するところやある程度の通信に関しても増設ユニットなどで対応することができます。

ただし、当然ながらではありますが大規模な制御の構築には向いておらず、内部に書き込めるプログラムの容量もビルディングタイプのそれに比べると制限されます。

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2)ビルディングタイプ

ビルディングタイプはパッケージタイプと真逆と考えてもらって差支えありません。選定の際にはCPUと入力ユニット,出力ユニットその他必要なユニットを各個別々に準備する必要があります。

PLCを用いた設計という意味ではパッケージタイプほどの手軽さはありませんが、その分出来ることが多く、また書き込めるプログラムの容量も飛躍的に増えます。通信においても様々な形態のものが選定可能です。昨今でのPLCの通信ではLANケーブルによるローカルネットワークでの通信が主流となっているようです。

ビルディングタイプを選定の場合はほとんど、そのインターフェイスにタッチパネルという機器が組み合わされます。インターフェイスとは、ここでは押しボタンスイッチや切替スイッチ,数値を設定するロータリースイッチなどを想像してもらえればわかりやすいかと思います。

これにより制御盤面がスッキリとなり、より操作性に優れオペレーターからわかりやすい構成に仕上げることが可能です。

パッケージタイプに比して高機能高精度が特徴といえるのではないでしょうか。

シーケンサー(PLC),GOT(タッチパネル)などの各種プログラミングソフトウェアを統合したプログラミング用のソフトウェアです。国内PLCの老舗メーカから出ているソフトウェアなだけあって高いコストパフォーマンスを誇ります。

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5.装着,配線

PLCにおいても調節計などと同様に、タイプを問わず「電源」「入力信号」「出力信号」を配線接続する必要があります。以下にパッケージタイプにおける接続例を図面化しています。図と照らし合わせながら解説を読み進めてもらうと幾分わかりやすいかと思います。ビルディングタイプでも基本的には同じですので応用ができます(アナログ系のユニットの記載はここでは省略しています)。

また、各端子に付与した端子名はメーカーや型式により様々ですので、その接続の意味を意識しながら理解することが必要です。

1)電源

PLCの動作用の電源は、AC100[V]かDC24[V]が一般的なようです。もちろんAC200[V]やDC12[V]もありますが、これらの電源選定はメーカーの仕様と制御盤内部がどのように構成されるかのマッチングで変わると思います。

大事なことは電源の種類を間違えないことです。

筆者がPLCを利用する場合は、制御電源を極力低い電圧のものでまとめる意味と共通化の観点からDC24[V]を選定することが多いです。

2)入力信号

外部機器から送られてくるPLCへの入力信号を受取るための配線接続が必要です。割当てがあり、たとえば1〜5番までの接続箇所があるならば各々に何を接続するかで内部的な設計に影響しますのでしっかり整理して接続しておく必要があります。

最近では入力にも、後述の出力にも電源が必要となります(古い機種では無電圧接点入力で認識するものもあります)。入力の場合はその有無を判別するため、出力の場合は信号の発信のためのものとなります。

ここでももちろん電源の種類がありユニットが要求する仕様に合わせる必要があります。

3)出力信号

ここでの出力は、PLC内部で条件処理や演算が実施された結果、外部機器へと送られる信号のことをいいます。

入力信号と同じように割当てがありますので、処理の結果出力される端子番号と実際動作する外部機器を取り違えないようにしましょう。

4)入出力コモン

リレーシーケンスのカテゴリでも説明しましたが、PLCの入出力にもコモン(common)という概念があります。ユニット内で共通使用する信号の戻り端子のことです。

昨今ではフォトカプラやトランジスタによる入出力の制御が多いことから「シンク」「ソース」の概念をおさえておく必要があります。

簡単に説明すると、「シンク」はNPN接合によるトランジスタを使用した入出力制御「ソース」はPNP接合によるトランジスタを使用した入出力制御となります。

各々極性が逆になります。要注意です。簡単ではありますが、各々の配線接続の違いを図にしていますので参考にしてみてください。

 

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6.まずはハード面から

以上がPLCの構成と使い方の概要となります。まずハード的に間違いない構成と配線接続ができるようにしなくてはなりません。その後内部のプログラムをおさえれば基本的な使い方ができるようになります。

特にPLCを使いこなしたいと考える方にとって、その意欲が大きければ大きいほど早く内部のプログラムをさわれるようになりたいと考えるのは自然なことでしょう。しかし、あたりまえですがPLCは機械でありハードとしての使用上のルールを守らなければいかに素晴らしいプログラムを走らせても思いどおりに動作させることはできません。

ここで説明した機械としての特徴や性質をきっちりとおさえて土台を整えておきましょう。そしてそのうえでプログラム設計スキルを伸ばし、機械,設備の動作に役立ててください。

なお、内部プログラム設計をするツールは三菱電機製PLCにおいては以下のIQ Worksに同梱されているGX Works2やGX Works3またGX Developerとなります。

シーケンサー(PLC),GOT(タッチパネル)などの各種プログラミングソフトウェアを統合したプログラミング用のソフトウェアです。国内PLCの老舗メーカから出ているソフトウェアなだけあって高いコストパフォーマンスを誇ります。

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さらに、シーケンス制御を効率よく学びたい方へ、筆者も実践した方法を記事にまとめました。時間的コストと金銭的コストのバランスが非常に良い方法であることを説明しています。以下からどうぞ。

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