回路計(テスター)・クランプメーター選定

ツール・学び
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1.測定器必携のススメ

回路計を使う(テスター)の記事でも述べていることですが、テスターをはじめとする基本的な測定器の使い方を知らないまたは持ってもいない電気技術者はいないと思います。ですが皆さんはどんな基準で測定器の選定をされているのでしょうか。ここでは「電圧」「電流」「抵抗」の電気の三要素を測定できる測定器の選定について解説します。

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2.目的に合った測定器を

電気の三要素を計測できる測定器といってもかなりの種類があります。性能も価格もピンキリです。

その中でご自身の目的や作業または設計のレベルに合わせて選定するのがベターかと考えます。コストにこだわりすぎてあまり性能の高くないものを選定購入したことにより目的の測定が満足にできないとなると本末転倒ですし、高コスト高機能のものを選定してもオーバースペックとなり、もったいないだけです。

で、結局どんな基準で選べば良いのか、以下に筆者の知見からですが選定のポイントを記載しますので参考にされてはいかがでしょうか。

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3.選定のポイント

電気の三要素全てまたはいずれかを測定できる測定器の選定ポイントを解説しながら、いくつかの測定器を挙げていきます。

もちろんここで紹介する以外にも様々な測定器がありますので興味のある方は是非ご自身でも調べてみてください。必ず皆さんにぴったりの一品が存在します。

1)HIOKI 3224-60

ここで紹介する回路計は最低限の測定が可能なものとなります。「電圧」と「抵抗」の測定がメインで電流の測定機能はありません。

電気の実務においては「電圧」測定が圧倒的に多く、次いで「電流」測定か配線導通つまり「抵抗」測定の場面が多いです。

電気のことを学び始めの新米工事士さんや弱電流機器の制御の簡単な保全を実施する方におすすめです。また最低限現場での安全確認という意味で検電器と併せて携帯しておくというような基準で選ぶ測定器という位置づけです。

この測定器のメリットはなによりも低コストであり、入手のしやすさが挙げられます。次に小型薄型ゆえ携帯性の良さも挙げられます。仕様としては直交流の500[V]の電圧測定,42[MΩ]未満の抵抗値測定,導通チェックです。

広く愛用されている回路計のひとつです。価格もお手頃、多くの現場で目にする携帯性抜群の一品です。

2)Kaise KU-2600

まずこれ1台あれば電気電子工作での測定は困らないという品です。電圧も電流も共に直交流に対応し、電圧なら600[V]電流は10[A]まで測定できます。

更には三要素以外に周波数や静電容量まで測定できるので、ダイオードやトランジスタ,コンデンサが搭載された回路でも役に立つでしょう。

デジタルマルチメーターの中では少し高コストの印象です。

ボディも少し大きめですので携帯性が良いとは言えないです。デスク上でじっくり基盤と向き合い作業する場合などに手元にあると心強い測定器です。

直交流600[V]の電圧、直交流10[A]の電流、40[MΩ]の抵抗が測定可能なうえ周波数や静電容量も測定可能な逸品です。

3)Kyoritsu KEWMATE 2012RA

デジタルマルチメーターにさらにクランプメーターのような機能を付加した測定器です。これによりIV38[mm2]までの直交流電流測定が可能です。

電圧なら直交流600[V]電流なら直交流120[A]まで測定できますので、大規模な建設工事などでなければ、これ一つで大体の測定はできてしまいます。

さらにこちらも周波数や静電容量を測定することが可能です。

これだけの機能を有していながら比較的薄型でリード線や電流センサーの収納も考えつくされているので携帯性にも優れています。高コストの品ですがこれだけのパフォーマンスを発揮してくれるのであれば納得できるのではないでしょうか。

直交流600[V]の電圧測定が可能なうえ、IV38[㎟]まで対応の電流測定用センサーがついて直交流120[A]の電流測定が可能です。

4)HIOKI 3280-10F

交流電流測定を重点においた測定器です。クランプメーターでありながら電圧測定や抵抗値測定も可能です。

交流クランプメーターとして1,000[A]まで測定可能で、また直交流600[V]の電圧測定および42[MΩ]未満の抵抗値測定が可能です。

なにより薄型で軽量ですので携帯性も良く、比較的低コストですので建設現場での電気工事に携わる方にはピッタリの一台です。

これ以外に特筆すべきは1[m]の高さからの落下試験をクリアしているというタフネスです。現場で忙しく走りまわり随所の測定をしながら工事や保全をすすめるに際して、この頑丈さは大変心強いものです。

お手頃価格のAC専用クランプメーター。これ一つで基本的な測定が可能です。電気技術者ならまずは必携のツールであること間違いなし!

5)HIOKI 3288

筆者も愛用のクランプメーターです。これによる電流の測定は直交流1,000[A]まで可能です。そして電圧も直交流600[V]まで測定可能です。電気の三要素において最強の性能を発揮する測定器であるのではないでしょうか。強電関係の現場(もちろん高圧以上は除きます)ならこれひとつでどこでも役立つ一品です。

携帯性に関しても「3280-10F」より少し重いですが気になるほどではありません。

高コストで購入にはちょっと気合が要るかもしれませんがその分パフォーマンスはコスト以上に充分に高いと言えます。

交直流の電圧電流測定および抵抗測定もこれ一つ!広い測定範囲も特徴の設計にも保全にも役立つ秀逸なツールです。

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2.結論

ここまでいくつかの電気測定器を紹介しましたが、これ以外にも低コストであったり高機能な測定器があります。つまるところはご自身の目的と照らし合わせることが大切です。

ここではデジタルの携帯できる測定器が紹介されていますが、慣れ等含めアナログのものが好ましいという方もおられるかと思います。そのような測定器もたくさんあります。

電気に関係する測定器でいえばもっともっとマニアックなものが存在します。たとえば絶縁抵抗計や接地抵抗計,電力品質アナライザー,継電器試験器,オシロスコープなどなど数多くの測定器が存在しますがすべて測定の項目やシーンを考慮したうえで設計製作されています。

どこまで測定できれば良いのか、予算はどこまでかを考えたうえで選定をされたら良いでしょう。

是非無駄のないような選定そして購入をされてください。

大人気の「電ドラボール」に低トルクハイスピードタイプが登場しました。携帯性と利便性が両立はそのままに、回転速度を上昇させ回転トルクを下げることで使いやすさが大幅に向上しました。実際に筆者も使用していますが初期型よりも使いやすさが格段に向上しています。もともとおすすめな電ドラボールがよりおすすめに!

電気工事士として必要なものを18点も詰め込んだツールセットです。電気工事に特化した工具セットの内容になっています。これだけあれば基礎的な電気工事において困ることは無いでしょう!

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電気計器の原理〜倍率器と分流器〜
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