アイソレーター・ディストリビューター

電気部品・電子部品

1.アナログ信号を扱う

制御盤で設備や機器を制御したりまた何かの量を計測する際などには様々な電気信号が使われています。ON/OFFの2値の信号はもちろん連続的な数値も扱う必要があります。

そのうちの連続的な信号は特にいくつもの種類があります。生産設備などでよく扱うのは【4-20[mA]】や【1-5[V]】の信号ですが機器によりその種類も様々です。ということは同時にいくつかの取扱い上の注意点も存在するということになります。

この注意点に対してうまく対応してくれるのが信号変換器というものになります。「アイソレーター」や「ディストリビューター」などとよばれ、アナログの信号を取り扱う際には欠かせないものであると筆者は考えています。

では、アナログの信号を扱う際の注意点と信号変換器によってどう対応できるのかについて記載していきます。

1)信号の種別を合わせる

アナログの信号を扱う際に、例えばセンサーやセンサーアンプなどの伝送器から「4-20[mA]」の電流信号が出力として発せられたとき、調節計等の制御器(または計測器)の受け取り側が「1-5[V]」の電圧信号を入力として待ち構えている場合、目的は達成できないことになります。入出力の種別が違うため処理は不可能となります。

そこで信号変換器の出番となります。

上記の例でいうと、信号変換器はこの伝送器からの「4-20[mA]」の信号を「1-5[V]」に変換して制御器に渡すことが可能です。その名のとおり「信号変換」を得意とするので、いろいろな信号種別を統一することで伝送器と制御器の橋渡し役となります。

ただし、信号の種別は多くの場合で選定時に決定しておく必要があります。仕様書から目的に見合う信号を、受けたり出したりできる型式を選定しなければなりませんのでご注意ください。

2)信号の分岐

アナログ信号を扱う場合、そのアナログデータを必要とする機器はいつも1[基]とは限りません。制御を目的とした調節計に入力すると同時に記録を目的とするレコーダーに入力する必要があるなんてことはいくらでもあります。そうしたときに「1-5[V]」信号ならまだしも、「4-20[mA]」を並列接続で分岐してしまうと、まず間違いなく正常な動作にはなりません。

そこで活躍するのが信号変換器です。信号変換器には2出力をもつものが多くあります。各々の信号種別を別々に選択可能で、且つ同種異種問わず二分岐して出力が可能であることが制御設計上非常に有利となるのは先の調節計とレコーダーの例に見るとおりです。

ただしこれも、2出力をもつものを選定する必要があります。これを間違えると信号の分岐という目的が果たせなくなりますので注意が必要です。

3)信号の絶縁

伝送器からアナログの信号を受け取る際に伝送器側で短絡があったとしたらどのような弊害があるのでしょうか。制御器側または外部電源にて信号用の電源を供給していた場合、伝送器での短絡はそのままその制御器での過電流発生を意味します。こうなってしまうとその損失は制御上流へと派生してしまい兼ねません。

信号変換器は型式により「絶縁型」というものがあり、主に制御盤の外に位置する伝送器と制御盤内に位置する制御器を電気的に非接触にすることで、外部配線不具合などによるトラブルから制御器を保護する意味合いも持っています。もちろん「非絶縁型」も存在しますので選定時は注意してください。

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2.アイソレーターとディストリビューター

信号変換器としての代表的な機器として、アイソレーターとディストリビューターについてその使い方や違いについて解説します。よく似た機器ですが、場合によってはアイソレーターが良いのかディストリビューターが良いのかが分かれます。この記事では横河電機製のVJシリーズを例に採り上げて説明していますが、他メーカー例えばMSYSTEM(エム・システム)社などのものでも使い方に大きな差はありませんので端子の配置やナンバーに気をつけていれば充分に参考になります。

また、今回の説明においてはいずれにおいても「絶縁2出力型」のものを用いています。これも選定型式による仕様のうちですので、くれぐれも標準仕様と誤解されないよう注意してください。

1)アイソレーター

アイソレーターは信号の変換と分岐に特化した機器です。後述のディストリビューターでは入力信号は原則「4-20[mA]」で固定ですが、アイソレーターでは選択が可能となっています。「1-5[V]」はもちろん、その他のレンジの信号を受け取ることも可能です。選定時に設計に合わせて決定することとなります。

以下に横河電機製のVJH1をモデルとしたオーソドックスな配線例を図面で記載します。

2)ディストリビューター

アイソレーターとよく似た機能を持つディストリビューターについて解説します。アイソレーターとどのように違うかが以下の配線例の説明から見て取れます。

① 2線式伝送器との接続

ディストリビューターの大きな特徴としては2線式の伝送器に対応していることがあげられます。20~30[mA]程度の電流制限がありますがその範囲内の消費電流の伝送器であればディストリビューターとの間の2線を接続することですぐに入力信号を受取ることができます。

ただし、ディストリビューターはそのほとんどで入力信号として受取ることが可能なのは「4-20[mA]」のものとなります。ですので伝送器は基本的に「4-20[mA]」で出力するものでなくてはなりません。

ちなみに2線式伝送器の「2線式」とは伝送器電源と出力信号を同一の2線で賄うことのできる方式のことをいいます。

以下に横河電機製のVJA1をモデルとした2線式伝送器との組み合わせによる配線例を図面で記載します。

② 2線式伝送器と外部からの電源供給による接続

2線式伝送器でも外部電源を使用して接続することができます。外部電源を割込ませるように接続することで2線式のままで、信号変換器が伝送器からアナログの信号(4-20[mA])を受取ることが可能となります。伝送器の動作が電源起因で不安定な場合などに用いると良いでしょう。

以下に横河電機製のVJA1をモデルとした配線接続例を図面で記載します。VJA1への入力端子が先ほどとは違うことに着目してください。

③ ディストリビューターをアイソレーターとして使用

ディストリビューターはアイソレーターとして使用することができます。別で電源端子を持つ伝送器には信号入力だけを接続する方法でそれが可能となります。

以下にVJA1をモデルとした配線例を図面で記載します。ここでも、信号変換器入力部での端子の使い方に着目してください。

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3.信号変換はアナログに限った話ではない

制御や計測に使用する信号はなにもアナログだけに限ったものではないことは、すでにご存知の方も多いかと思います。冒頭に少し出てきたON/OFFでの伝達も立派な制御信号のひとつです。この他にON/OFFと似たパルス信号も存在します。しかしこれはこれで別の目的を持つ信号です。例えば積算流量を計上したり、電力量を計上したりするために用いられます。累計を測るのに適しているようです。

上記パルス信号も変換や分配が必要となる場合があります。パルス信号からパルス信号への変換というものはあまり目にしたことはありませんがパルス信号の分配はよくあることです。また、アナログ信号で得られる瞬時値の時間的積み重ねをパルス信号へ、逆にパルス信号の積み重ねの時間変化から瞬時値つまりアナログ信号への変換も必要な場合があります。これらを実行する際も信号変換器の出番となります。

以上のように制御では様々な信号が必要に応じ加工され使われており、そこには何かしらの変換器が活躍しています。これらを上手に使いこなせればより高度な制御や計測に役立てることができます。是非、変換器の使い方もマスターしていきましょう。

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