電気を受け取り使う

受電・変電
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電気を受け取ったらすぐ使える?

電気は発電所という施設で生み出され送電網という蜘蛛の巣のように張り巡らされた電線によりそれを使う場所まで送り出されます。

では、その生み出され送られてきた電気は全てにおいてすぐにでも利用可能なのでしょうか。

こんな問いかけをするくらいなのでおそらくそうではないと想像がついてしまいますね。

はい。ご想像のとおりです。

一般家屋(一戸建や小規模マンション)などで低い電圧で受け取る場合を除き、そのまま使うことは不可能と考えて差支えありません。

先程「低い電圧」と言いましたが、ほとんどは、特に大中規模の建物で利用される電気は「高い電圧」で送られてくるということです。

一般的な電気を使って動作する機器(電力消費設備や機器)の多くではその動作に必要な電圧が高くても400[V]程度です。なのに高い電圧…

「それならはじめからその電圧で送ってくれたらいいのに」っていう素直な疑問も湧きそうですね。では実際電気を使う場所まではどれくらいの電圧で送られているのでしょうか。

結論から言うと実際に使用する場所においては3.3〜77[kV](3,300〜77,000[V])です。

ご自宅で電気を使う際に繋ぎこむ、よくあるコンセントが100[V]ですが、その33〜770倍です!高っ!

普段使う機器類が高くても400[V]程度なのにはるかに高い。この分野の専門家でなくてもこれはヤバいって直感で察することができますね。

では、そのようにして送られてきた電気は如何にして使える状態になっているのでしょう。

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受変電設備

高い電圧で電気を受け取る場所には必ず「受変電設備」がなければなりません。上の画像もそのひとつです。

受変電設備とは「受電」のための設備と「変電」のための設備を合わせて表現したものです。

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1.受電と受電設備

受電とは読んで字の如く電気を受け取ることで、受電設備とはそのための設備のことです。

こんな言葉が存在するくらいですから何か特別なことをしているのでしょうか。ややもすると「いくら電圧が高くたって配線つないで敷地内に引っ張ってくればいいだけじゃないの?大袈裟に受電だなんて。」と思われるかもしれません。

いいえ、きっちり大事な役目を担っています。受電する際に大事なことは以下になります。

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2.受電設備の役割

1)財産と責任の境界線になる

2)大きなエネルギーに対する保護をする。

3)計測,監視をする

4)受けた電気を必要箇所にさらに分配する

ひとつずつ説明していきます。

1)財産と責任の境界線になる

あたりまえですが電気は配線(送電線)により送られてきて必要箇所の敷地内に入っていきます。つまりひとつなぎの線のまま敷地外から敷地内へと途切れることなく入ってくるのです。

このとき、どこからどこまでを電力会社による管理範囲とし、電気消費者(需要家といいます)の管理範囲とするかは需要家側の「主遮断器」というもので区分けされます。このポイントを「責任分界点」といいます。

また、主遮断器とは需要家の敷地内で発生した電気的トラブルを送電線で繋がる他の需要家や電力会社の設備を巻き込まないようにするためまた、敷地内の電気事故を検知し受電を停止することで異常状態継続の防止、二次災害の防止をするなどいくつかの機能を有します。

2)大きなエネルギーに対する保護をする。

当然ながら電力会社から送られてくる電気は人間が生身でどうこうできるようなものではありません。

ということは電気を受けることにおいて、何かあったときにナニモノかがどうにかしてくれるような仕組みをつくっておかなければなりません。

それを受電設備にやってもらおうということです。具体的には先程登場した主遮断器などにその役割を担ってもらいます。

以下に受電設備内で保護に関する役割を担っている機器をいくつか紹介します。もちろん様々な種類がありますのでこれらが全てではありません。

a.過電流蓄勢トリップ付地絡トリップ型気中負荷開閉器

(SOGとPASの組み合わせ)

b.過電流継電器と真空遮断器

(OCRとVCBの組み合わせ)

c.高圧交流不可開閉器(ストライカー引外し式限流ヒューズ付)

(LBS)※限流ヒューズや引き外しコイルの無いものは自動での保護動作無

3)計測,監視をする

受電する場所は電気の受け入れの最上流です。よって、このポイントで計測を行えば敷地内のその使用量を一括で把握できます。

また電気を受ける際に、1時間単位で一度に受け入れる上限を電力会社と協議して取り決めます(デマンド契約といいます)がこれを超えると電力会社からの金銭的または契約内容的ペナルティが課せられます。

これを回避するには計測しなおかつ監視することが必要となります。

4)受けた電気を敷地内の必要箇所にさらに分配する

受電設備では電力会社より受けとった電気を各セクションに分配する機能も有しています。これを配電といいます。

その場合高い電圧のまま送り出します。このままでは当然送り先のセクションでも、まだ一般的な機器に使用できる形態ではありません。これをそのセクションで使えるような形(低い電圧)に変換するのが後述する「変電設備」となります。

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3.変電と変電設備

電力会社から電気を受け取り使用できる形態へと変換することを担う設備に変電設備というものもあります。

前述の受電設備があくまで需要家内へ電気を引き込み、保護,計測しながら必要箇所へ配電することまでとなる場合、別途使える形態へ変換する必要があります。先にも出ましたが「変電」といいます。

それを行うのが「変電設備」です。これには受電設備とよく似た機能があります。以下に役割を記載します。

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4.変電設備の役割

1)受電設備が分配した高い電圧の電気を受ける

2)高い電圧を低い電圧へ変換する

3)大きなエネルギーに対する保護をする

4)計測する

5)変換後の電気を必要箇所へさらに分配する

なんだか言葉で見た感じでは受電設備とそう大差ないようにみえますね。

ひとつずつ説明していきます。

1)受電設備が分配した高い電圧の電気を受ける

受電設備の場合とほとんど一緒ですが、主遮断器という概念と責任分界点という概念はありません。

なぜならすでに需要家の構内のことですので電力会社との境界線が存在しないからです。

ただし、後述の保護という意味では電気を受け取るポイントにちゃんと保護装置があります。

2)高い電圧を低い電圧へ変換する

これぞ変電設備の変電設備たる所以です。そのまま利用するには危険すぎる電圧を、利用可能な低い電圧に変換します。

ここで活躍するのが「変圧器」なるものです。トランスともよばれます。ここで登場する変圧器はどれも降圧トランスと言い、例えば6600[V]の電圧を200[V]へ変更します。

この働きを「変圧」と言い、特に電圧を高いところから低いところへ下げることを「降圧」といいます。もちろん逆は「昇圧」といいます。

3)大きなエネルギーに対する保護をする

こちらも受電設備と同じような役割と機器になりますが需要家構内での電気事故(短絡など)をいち早く検知し作動するための高圧部分が関わる最前線,最外殻となります。つまり事故時の対応最前線または先発部隊というところでしょうか。

4)計測する

受電設備のように監視の機能まで搭載しているのはあまり見かけませんが、電気を扱う上で、しかも高い電圧を使用する上ではなおさら電圧や電流,電力の計測は欠かせません。

またエネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)の施行に伴い計測は変電設備においてもできる限り細やかに実施されるようになってきているようです。

5)変換後の電気を必要箇所へさらに分配する

変電設備内の変圧器にて高い電圧から低い電圧へと変換された電気はこのあと各機器や設備に送られなければ意味がありません。

ですので、変電設備には低い電圧への変換後に各電気使用場所へ分配する機能があります。これも配電といいます。

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5.需要家でも様々な機器が活躍

電力会社から電気を受け取った後でも、こんなにもいろいろな設備や機器が活躍して目的を達成するようにシステマチックに動いています。これらの機器は電力という大きなエネルギーを制御する割には非常に精密にできています。むしろ、大きなエネルギーを扱うことから、より安全により効率よくを目指すうえでは精密に動作せざるを得ないのではないかと考えます。

そして、各保護機器や計器だけでなくそれらを「管理する人」がいてはじめて安全に効率よく電気の恩恵をうけることができます。ここでとりあげた機器類は精密に正確に動作することが可能ですが、それはあくまで人が設定値を取り決めかつ点検などで日々確認していくことでその動作が保証されます。

やはり電気という便利ではあるけれど一歩間違えば大事故につながる巨大なエネルギーを扱うのにはその性質の理解と正確な制御が必要ということです。この記事ではまずこういうことについてご理解いただけたら幸いです。

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