資格は役に立たない!?〜電気系資格に挑戦〜

ツール・学び
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1.資格・免許について

皆さんは今、挑んでおられる資格試験等はおありでしょうか?このサイトに来られた方でも、特にこの記事に訪れた方であればなにかしらの電気関係資格をお持ちか、挑戦されているのではないかと考えます。

世の中には多くの資格や免許が存在します。数多ある資格や免許でも、該当の資格を保有していなければその業務に従事できない「医師」や「弁護士」、また特定の業種や事業に関してはその有資格者を一事業所に必ず定められた人数で選任しなければばらない「衛生管理者」や「宅地建物取引士」など、業務に密接に関係するものも多いです。これらは超がつくほど有名で、前者を「業務独占資格」といい後者を「必置資格」といいます。いずれも国家資格であり、原則は筆記,実技問わず「試験」により取得することとなります。

「電験」も上記のような業務独占資格や必置資格に位置します。また、「エネルギー管理士」も同じ分類の資格となります。つまりこれをもっていなければその業務に従事できず、かつ事業所に必ず一人選任しなければならない資格です。

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2.国家資格は難易度高め

前述のとおり、電気主任技術者やエネルギー管理士,電気工事士などの資格は業務独占資格や必置資格です。ですので、その難易度は高めに設定されています。

なかでも電験は最も低いレベルに位置する三種でさえ難関資格と言われています。一種ともなれば「電気の司法試験」とも言われ、もはや天才の域ではないかと感じるほどです。

その他エネルギー管理士も電気通信主任技術者も難関資格です。

電験三種で必須となる数学知識をとりまとめたテキストです。指数対数をはじめ、三角関数や複素数などがくわしく説明されています。まずはここから合格の突破口を開きましょう!

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3.実務では役立たず!?

 

これらのような難関以上の資格に挑むには、天才のような一部例外を除き一般的にはかなりの勉強量を必要とし、険しい道のりになることは言うまでもありません。そんな中、道半ばにして合格を諦める方も多くおられるのは事実です。しかしそれがもてる力の限り試験に立ち向かった結果であるのなら誰にも何も言われる必要の無いことであることもまた事実です。

ですが、中には中途半端にかじった程度で「資格など机上のみで実務では役に立たない。」などと言う人もいます。そればかりか挑んだことも無いのに「資格よりも経験だ!」と言う人もいるのは事実です。正直、困ったものです。

特に困るのは挑戦中の方に対して「そんな勉強、やっても意味がない。」などという人です。こういう人たちが後に付け加えて言うのは「そんなことやってる暇があるなら配線接続のひとつでもやればいい。」です。実は筆者も幾度となく浴びせかけられた言葉です。

果たして本当に資格なんて意味が無いのでしょうか?机上での学習では何も身につかないのでしょうか?

このような言動に対する筆者の回答を結論からいうと「役に立たないわけがない」となります。国が正式に定めており、間違った理論などひとつも無い試験が役に立たないわけが無いことは明白です。

かじった程度や挑んだこともない一個人があれこれ言っても何の説得力もありません。ましてや、仮に配線の引回しや接続作業を幾度となく繰り返したとしても管理に必要な「電気知識」は手に入りにくいです。

電気を扱う業務では事故をおこすとそれがそのまま人体や財産に影響を及ぼす可能性が高いということは誰でも理解できると思います。そのような事故を可能な限り避けるためには正しい知識がどうしても必要となります。もちろんこれは電気分野に限った話ではなく、医療なども事故は人命に直結します。

このことから自身を含めた誰かの人生に大きく関わる職務には基準を超えた知識を有する者しか従事できないようになっています。資格の制度はそのようになっており、その試験に関してもよほどの奇跡でもない限り、そして難関であればあるほどまぐれ合格などが無いように体系立てられています。

以上より、「資格はなんの意味もない」などということはあり得ないことは容易にうかがえます。

電磁気理論,直交流における各計算や抵抗計算他多くの電気に関する定義定理を体系立てて解説してくれています。間違いなく良書といえます!

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4.資格取得の目的は?

筆者が、おそらく資格試験の合否よりも大事であろうと考えているのは「資格取得の目的」です。

言い換えると「学習の目的」です。

学習の継続のためには、自分が何のために資格試験に挑むのかを随時自身に問い続ける必要があります。

例えば「電気業界の権威になりたい」のであれば電験一種は必ず取得したいところですし、この合格無くして権威にはなれないと考えます。

また、権威とまではいかなくとも「電気分野の専門家」としてたとえば電気主任技術者の職務に就きたい場合や転職前後におけるスキルアップを目指したい場合は「電験三種」以上の資格を保持しているとより理想的な状況にもっていける可能性が高くなります。

さらにいうと、単に「電気分野を知りたい」場合や「周囲の人より少しでも電気について詳しくなりたい」場合は必ずしも電験などのような資格を取得する必要は無く、知りたい内容によってはシーケンス制御や電子回路についてを学習される方がいい場合もあります。もちろん、学習の方向が違わないのであれば電験用のテキストや問題集で知識取得を進めても問題が無いことはいうまでもありません。もし力がついてきたならばそのまま試験合格まで手を伸ばすのも可能です。

つまるところ、資格の取得は知識や技術技能の証明のための手段であると考えています。

大事なのは目的であり、その目的の達成が学習によって得られるのであれば机上だろうと何だろうと問題は無いはずです。

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5.知識と経験

仕事をする上で、「知識と経験のどちらが大切か」というような問いに直面した方はおられますでしょうか。筆者は何度かそのような問いに対して考えさせられるような場面に遭遇したことがあります。

世の中でよく言われている「学校での勉強の成績と社会での仕事の出来不出来は関係ない」というあれに似た問いですね。

知識と経験のどちらが大切かの問に関していうと「どちらも大切」が何も考えずに出る答えですが、それを除いた場合でいうと、筆者は「6:4で知識が大切」と答えます。

筆者の考える根拠は以下のとおりです。

テキストや問題集に記載されており机上で得られる知識というのは、先人達がすでに経験し得られた結果の因果関係を理論的に解明し、より体系的にまとめたり、問題にしてポイントをおさえられるようにしたものであり、頭の中で疑似体験をすることで自身が身を持って体験することで得られるよりも遥かに多くの経験値を獲得することができます。しかしあくまで疑似体験なので身を持って体験するよりもわかりにくく、記憶に定着しにくいという一面もあります。

上記が「知識と経験のどちらが大切か」に対してどちらかに絞った場合の回答です。そしてここに、資格試験の意義があるのではないかと考えています。

またそのように考えると、これまで人間が如何にして技術を発展させてきたかについてもなんとなく納得できるような気がします。

変圧器の変圧原理から各種電動機の回転原理も詳しく解説されています。また、照明や電気加熱,自動制御までもわかりやすくまとめられています。このテキストで突破しましょう!

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6.資格(勉強)が役にたった瞬間

それでもなお、「資格取得も机上での学習も不必要。」「経験のみがスキルアップの道だ!」と言う人もいるかもしれません。

ですので、以降に筆者が資格取得して役に立った事例や資格取得中の学習が役に立った事例を紹介いたします。

1)電動機選定

筆者が電験三種にまだ合格はしていないものの、学習中の知識で既に役に立った事例です。

新たに立ち上げる設備で設計変更を余儀なくされた部分において電動機容量を算出しなければならなくなりました。そのときに電験三種の「機械」科目で学習した「P=2πnT[W]」の式や「n=(120f)/p[min-1]」の式他、電動機すべりやトルク計算などが大いに役に立ちました。

おかげで急に発生した電動機選定の業務を難なくクリアすることができました。

2)進相コンデンサ容量の計算

これも急ぎの業務における話です。

ある日突然協力会社の方から「すぐにコンデンサの容量を知りたい。」との連絡が入りました。元々こちらから容量を伝えるつもりの手筈でしたが、協力会社さんで納期などを確認したら、急いで手配しなければならないことに気づき、あわてて筆者に連絡してきたとのことでした。

筆者はすぐに電力データを引っ張り出し力率計算をして回答しました。

簡単な話ではありましたが、もし筆者が無資格無勉強の、単なる工事担当者ならばなにをどうしていいのかわからず、パニックになっていたと思います。

3)電圧の間違いを是正

体験談記事の中にある事例ですが、更新したばかりのある制御盤からの指令で開閉する電磁弁の回路が、サーキットプロテクターで遮断されるというトラブルが発生しました。一報を受け確認に行ったところ、結果としては電磁弁の動作コイル定格が間違っていました。

電気主任技術者の業務の範囲からは少し外れていますが、電気保安に関しても制御に関しても必死に勉強していたので気付けたのだと確信しています。

当時の脳内はおおよそ以下のとおりの動きです。

①盤内も外部も回路や配線上では問題無しだな。

②残すところはバルブ自身の問題か…

③コイル抵抗はあったけど仕様書の確認が必要だなぁ。

④むしろ仕様書があればインピーダンスも確認したいし…

⑤他にもコイルの消費電力でも定格電流でもいいから、仕様書でひととおり確認できるといいのだが。

⑥定格といえば、電圧はどうなっているのだろうか。制御盤からAC200[V]が出ているけど。

⑦あれ?そういえばこの症状、もしコイル定格がAC100[V]ならありえるよな。異常の時限的発現もうなずける。

⑧まさか…?

といった具合です。

これも、蓋を開ければ全く難しい話ではありませんが、電気の学習をしていなければ「勘」による対応になりかねません。

また、更新したばかりの制御盤であり電磁弁も新品であったということから、もしも筆者が制御のことしか知らない状態であれば「モノの定格電圧が違う(低い)のではないか」という仮説を立てるのにはかなり時間がかかっていたと思います。

もちろんこの事例では制御の理解も必要ですが筆者の場合においてはそれだけだと手間取ることが目に見えています。

4)制御設計の定格確認

制御設計においても電験などの資格は役に立ちます。なぜなら図面を作成することはもとより、部品のカタログには電気の知識が無ければ何のことを言っているのかわからない用語が出てくるからです。

先の「インピーダンス」や「定格」などの専門用語は電気部品,電子部品の選定では頻繁に出てきます。

それがどのような事象を指しているのかは勉強しなければ絶対に解らないことです。

そして、これらの知識を利用して制御設計をすすめることになるのですが、まず最初に「主幹の配線用(漏電)遮断器は定格電流がどれくらいであるべきか」や「漏電遮断器の場合は感度電流がどれくらいであるべきか」などですぐに電気知識を要求されます。電源系統で言えば他にも「パワーサプライはどれくらいの容量であるべきか」も考慮しなければならない場合もあります。

PLCやSSR(ソリッドステートリレー)などにおけるNPN接続,PNP接続に関する基礎知識も筆者は電験三種の学習を通じて得ることとなりました。

5)メーカーへの質問など

分からないことがあり、それについて知りたい場合は知っている誰かに問い合わせるということは普段の生活でも沢山あります。そうやって物事を知っていくことで成長していきます。

このとき「質問のしかた」というのは返ってくる回答の質に大きく寄与します。何が分からないのかを明確にしピンポイントで質問することで、より欲しい答えを得られることとなります。

これが専門の何かについての質問ともなると、質問したいことの周囲の知識が揃っているかどうかがより強く影響します。

例えば遮断器について質問したいとき、漠然と「通常使う範囲で何をしたら壊れる?」なんて質問しても、質問された側にとっては回答範囲が広過ぎて何も答えられないか膨大な量の回答が返ってきます。相手によっては、質問を質問で返されることになるでしょう。

そうではなくて、例えば「この遮断器の定格遮断電流はどれくらい?」とたずねると「〇〇[A]」という具合にピンポイントで回答を得られます。この例では「遮断器にはなにやら遮断できる限界があるらしい」ということと、「それを定格遮断電流という」ことが理解できていなければ質問することはできません。わからないところがわかっているという状態ですね。

上手に質問して目的の回答を手に入れるのにもそのための周辺知識が必要となります。

6)機器,計測器の動作原理の理解

筆者が取得した資格やそのための勉強は、日々使用する機器や計測器を正しく理解することに大きく寄与したと実感しています。簡単な例をあげると、「電動機がなぜ回転するのか」,「回路計がどのようにして電圧や電流を測りとるのか」などについて理解が深まったということです。これら理解が深まった機器などの取扱いでは格段にミスが減り設計や点検などの作業における正確性が大きく向上しました。

これは至極当然のことです。いわゆる「原理」を理解することは、同時にどう扱えば目的通りに動作するかを理解することになり、更にどう扱えば危険なのかも理解することとなります。

「CTの二次側を開放するとどうなるのか」,「三相誘導電動機に逆相入力するとどうなるのか」,「単相誘導電動機の回路に接続されているコンデンサは何のためにあるのか」,「回路計での電流計測時に負荷を介さずリード線をあてるとどうなるのか」などの数々の知識は資格を取得することで、またその学習過程で手に入れた知識となります。

これらは実務における様々な場面で筆者自身を助けてくれています。まさに先人達が経験し理論立てて解説してくれていることを理解することで大きな事故を回避できています。

「電気工作物とは」というところから電気設備に関わる法規のうち特にポイントとなる部分をピックアップして解説してくれています。接地工事や絶縁の基準はもちろん電線路におけるルールもバッチリ説明されています!

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7.資格は荷物にならない

これまで資格取得やそのための学習における利点を実務上の経験とともに述べてきましたが、最後にもうひとつ資格の大きな利点をあげます。

それは、「荷物にならない」ということです。取得したことによりなにか生活や仕事がしづらくなるということはありません。もし、何かを任されて「責任」が課されたとしてもそれは同時に社会的な「評価」が上がったということと同義ですので、ただ負担が増えた場合の話とは違います。

電気業界において、電験やエネ管などの国家資格は一生使える資格であることから「生涯資格」と言われます。さらに更新審査なども無いことから「一生有効」です。如何にこれらの資格が荷物にならないかがよくわかりますね。

以上、電験やエネ管などの難関と言われる資格が、実務上役に立つか立たないかについて解説しました。今まさに取得に挑戦されている方も、これから挑戦を考えられている方もご自身の考えを信じて学びに貪欲に邁進されてください(自分に言い聞かせています)。

単相でも三相でもこれ一台で様々な電源品質にかかわる項目を計測可能です。筆者もエネルギーの管理などで利用していました!電力はもちろん周波数や力率,高調波など、他にも様々な項目の計測が可能な優れた逸品です!

この記事にも一部載せていますが、電験三種を学ぶうえの良書を紹介する記事をまとめています。

以下からどうぞ!

電験三種の学習図書(テキスト)~おすすめの良書~
1.電験三種を取得しよう! 「第三種電気主任技術者試験」、通称「電験三種」は電気技術者を目指す方々には登竜門となる試験で有名です。この資格は電気技術の基礎知識を備えていることの証明となり、保持者は職場や仲間内でも一目置かれる存在となります。...