回路計を使う(テスター)

電気計測

1.回路計とは

電気の仕事に携わるにあたり、回路計は必ず携帯しなければならない測定器です。もちろん回路計だけではなくその他にも大切な役割を担う測定器や検知器は多数ありますが、筆者の意識としては回路計をもたない電気工事士や電気技術者は、筆をもたない書道家、ラケットをもたないテニスプレイヤー、スパナを持たない機械整備士のようなものです。たぶんありえないと思いますが…

では、回路計とはどのような使い方でどのようなことを測定し知り得るのでしょうか。代表的な機能とその留意点について以下に記載します。

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1)電圧の測定

まず、何といっても電圧測定です。回路計やテスターとよばれる測定器は必ずこれが可能です。というかこのために存在するといっても過言ではありません。

回路に電圧があるのかないのか、あるとしたらどれくらいかかっているのかを数値にて読み取ります。

図はAC100[V]の電源から機器に供給されている電圧を測定しています。当然結果は100[V]と出ます。測定したい箇所にリードをあてることで電圧を測りとっています。リードとは回路計から出ている(または回路計に接続しセットする)赤黒一対の測定用の棒状のものです。図中で緑色で記載されたものは回路計本体になります。

回路計で電圧を測定する場合、以下のことに注意してください。

①仕様の範囲内の電圧測定に用いる

回路計に記載の定格電圧以上の回路で使用しないでください。定格を超えた箇所に使用した場合は回路計自身の破損焼損はもちろん、測定者が感電するおそれもあります。必ず定格を確認して使用してください。

②測定項目の選択を誤らない

測定項目の選択はファンクションスイッチという回転するスイッチでおこなうのが一般的ですが、この場合は必ず電圧測定のファンクションに合わせてください。また、直流交流(DC/AC)の選択にも注意してください。

③大きなレンジ設定から始める

デジタルでオートレンジというレンジ設定を自動で行うものの場合は不要ですが、特にアナログの回路計では小さすぎるレンジで測ろうとすると測定値オーバーになったり、勢い良く触れた針が折れてしまいます。

④リードの金属部分や測定箇所の金属部分(端子)などに触れない

電圧がかかっている(印加といいます)部分を充電部といいますが、ここに触れてしまうと感電します。

⑤2本のリードの金属部分を交差し触れ合う状態にしない

交差状態で充電部の両極端子にあてると短絡しリードの焼損や間にある機器の破損、アーク(火花放電)による感電を招きます。

⑥直流電源の場合は極性を合わせる

直流電源での電圧測定時にプラスとマイナスを逆にあてるとタイプによっては指針が逆振れして測定値がよめない場合があります。デジタルのものならマイナス表記になります。

2)抵抗値の測定

電気抵抗の測定も回路計の得意とするところです。どれくらいの電気の流れにくさがあるのか、線は繋がっているのかを抵抗値測定結果にて判断します。

このときももちろんいくつかの注意点があります。

①測定項目の選択を誤らない

電圧測定の場合と同じです。この場合は抵抗測定ファンクション以外を選択してしまうということになりますが、その状態で測定にあたっても基本的には回路計に反応はありません。

②ゼロ点調整をする

アナログの回路計におけることですが、予めゼロ点を調整しておく必要があります。調整方法は、ファンクションスイッチを抵抗測定の1[Ω]レンジに合わせその後2本のリードの金属部分を重ね合わせ短絡状態にします。こうすることで抵抗測定上「0[Ω]」をつくりだすことになります。そしてずれている分をゼロアジャスターで調整するということです。

この操作は回路計で断線(配線の切断状態)がないかを診る作業ですので電圧測定時や電流測定時でも癖付けるようにしましょう。

③抵抗測定状態で充電部にリードをあてない

電気抵抗は無電圧の回路で実施します。理由は回路計の電源を使用するからです。これを誤るとやはり回路計の破損や感電を招きます。

3)電流の測定

回路計での電流測定はタイプやグレードにより様々です。そもそも測定項目のないものや、あってもごくわずか(ミリアンペア[mA]クラス)な直流電流のみであったり、直流交流共に数アンペア[A]から数十アンペア[A]まで測れるものがあります。

ご自身の使用される範囲を選定してください。

回路計における電流測定はこれまでの電圧や抵抗に対するものとは違い回路上に割り込ませる必要があります。電圧測定のように端子にあたりにいってはいけません。

そしてこれまでと似通っていますが他にも注意事項があります。こちらも念のため記載します。

①仕様の範囲内の電流測定に用いる

回路計に記載の定格電流以上の回路で使用しないでください。定格を超えた箇所に使用した場合は電圧測定とのきと同様に回路計の破損や感電を招きます。

②測定項目の選択を誤らない

測定項目の選択もこれまで同様に気をつけてください。ファンクションスイッチで直流交流も加味しながら合わせてください。

③大きなレンジ設定から始める

これも電圧測定時と同様です。特にアナログの回路計では注意が必要です。

④リードの金属部分や測定箇所の金属部分(端子)などに触れない

やはり電圧測定と同様ですね。ただし、電流測定においてはその回路構成上、リードの金属部がボディなどの他の金属にも触れないように特に注意が必要です。

直流電源の場合は極性を合わせる

電圧測定同様、直流電源での測定時にプラスとマイナスを逆にあてると指針の逆振れがおきます。やはりデジタルのものならマイナス表記になります。

上記が回路計の主立った機能と使用する上での注意事項となります。

この他にもダイオードの導通チェックやコンデンサの静電容量測定などの機能がついたものもあります。各々取扱説明書をしっかり読んで破損や被害の無いように使用してください。

直交流600[V]の電圧測定が可能なうえ、IV38[㎟]まで対応の電流測定用センサーがついて直交流120[A]の電流測定が可能です。

2.実務使用例

上記では回路計の基本的な使い方を述べましたが、以降は実務での回路計の使用例を紹介します。より実践的に使用しかつ更なる安全確保に役立てていただければと考えます。

1)端子電圧測定(負荷に直接かかる電圧)

電源電圧の測定方法は前述のとおりですが、ここでは電気で動作する機器(「負荷機器」や単に「負荷」といいます)に電圧が適切に印加されているかをみるための測定について説明します。

図のようなリードのあたり方の違いで、電源そのものの電圧と負荷への印加電圧の違いがでてきます。直列で負荷が接続されているときや電源電圧がかかるべきところに本当にほしい電圧があるかなどを調べるときは、この端子電圧の測定が必要となります。

2)端子電圧測定(スイッチの動作を電圧でみる)

制御盤などに取り付けられ、電圧が印加されているスイッチにおいて「機器が起動しない」などのトラブル時に使える手段です。

そのスイッチが正常かどうかを容易に外してみることができない場合、スイッチ間の端子電圧を確認することでその良不良を簡易的に判断することができます。

操作自体は簡単です。ファンクションスイッチを電圧測定に合わせます。もちろん交流直流と、直流なら極性にも気をつけてください。そしてスイッチの一次側と二次側にそれぞれリードをあてスイッチをON/OFFします。

このとき、例えば電源が24[V]でスイッチがa接点だったとします。

正常なスイッチならOFF状態で回路計は24[V]を指示し、ON状態で0[V]を指示します。

これはスイッチが繋がっていない状態(a接点OFF=開路)ではその端子間に電位差が現れることによるものです。そして、スイッチが繋がっている状態(a接点ON=閉路)ではその端子間の電位差がなくなることで0[V]と測定されることによります。

ただしこの方法は負荷機器や回路の状態で電圧が出ないこともあるのであくまで目安、簡易的方法として利用してください。

3)対地電圧測定(地球に対する電位差)

地球は大きなコンデンサともいわれ、地面の電圧は原則0[V]です。この性質を利用することでこれから触ろうとする端子部や配線が安全かどうかを知ることができます。誘導起電力により対象端子部に電圧がある場合などはこの測定方法で事前に確認ができます。

これも作業としては簡単でリード(黒)を確実に接地されている線(緑色のアース線)にあて、もう一方のリード(赤)を測定対象にあてます。

このとき地面との電位差がなければ測定電圧は0[V]となり、ひとまず感電はしないという安全が確保されています。ただし、ひとまずと言ったのはあくまでその測定部だけが0[V]であり回路全体として0[V]が保障されたわけではないということです。またこれを確かめるためには確実な接地が絶対条件となります。

そして確実な保障のためにはまず何といっても電源電圧(実務的には作業対象回路におけるブレーカ遮断後のその二次側など)で0[V]を先に確認しておくべきです。

4)スイッチ導通チェック(スイッチの良不良を直接確認)

回路計の抵抗測定機能はスイッチ単体の動作の様子を確認するのにとても適しています。

確認の方法もシンプルで、ファンクションスイッチを抵抗測定に合わせ、リードを各々スイッチの一次側と二次側にあてます。その状態で測定対象のスイッチをON/OFFします。

例えばa接点の場合、正常ならON(閉路)で抵抗値が0[Ω]へ近づき、OFF(回路)で∞[Ω]へ近づきます。

0[Ω]でも∞[Ω]でもスイッチのON/OFFに関わらず変化がない場合は正常動作とはいえません。

押しボタンスイッチに限らず電磁接触器などでも同じ方法で接点状態を確認できます。

5)外部配線導通チェック(遠方まで伸びた配線はちゃんと繋がっているかを確認)

回路計の抵抗測定機能で、手元から外部の遠い位置にある機器までの配線がつながっているかどうか、また本当にそこまで伸びている配線で間違いないかどうかを確認できます。

条件としては必ず2線(2芯)以上あることですが、これは電気回路の性質上必ずプラスとマイナスの2線は最低でも存在しますね。

そのような2線や3線以上で構成される遠い機器までの配線を、目視で追いかけることなく、どうやって回路計で確認するのでしょうか。

図を見ても一目瞭然ですが、まず2線以上で一束になり外部へ出ていっている、確認対象の配線の両末端を離線(端子台などから外す)します。外した配線のその片側(元電源とは反対側の末端が望ましい)に抵抗測定にセットした回路計をあてます。この時点では∞[Ω]に近い大きな抵抗値を測りとっているはずです。

逆の末端側で、判別したい配線のペア(回路計であたっているペア)を短絡させます。つまり直接触れ合う状態で固定します。そしてさきほどの回路計をみたときに測定値が0[Ω]となっていればそのペアは確実に繋がった配線ということになります。

長距離で、かつ地中や高所に張られた配線を目視せずに判別できるとても便利な方法です。

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3.アナログかデジタルか

以前は電気の仕事をしていると「電気技術者たるものアナログテスターを使えなければならん!」というようなことをよく聞きました。

なぜだろうと思いますが、どうやらオームの法則を視覚的に捉えたりややこしい目盛りを読みこなしたりするため等のような意見を直接聞いたことがあります。筆者の正直な意見としてはそこにはあまり意味が無いと感じます。

そもそも、回路計を使うからにはオームの法則は頭に入っていなければならないものです。目盛りの読み方はただ単に知っているかそうでないかに過ぎませんので取扱説明書を読めば済みます。

明確な利点として考えられるのは、アナログ回路計は測定値表示のレスポンスが早いことや電圧電流測定では電池不要などです。しかしながら何にでもメリットデメリットはあるもので、この例でいうとアナログ回路計には指針や機械的可動部が存在することから衝撃に弱かったり、マイナス表記が不可能だったり、初心者には目盛りが読みづらかったりということもあります。

著しく品質の低いものでなく、思い入れが深いわけでもないならばアナログデジタルのどちらを選定しても良いかと思います。

最も大切なことは、先ず正しく扱えること、そして回路計が教えてくれる情報を測定者が有効に扱えることにあると考えます。仕事であれ趣味であれ電気を思いどおりに利用してみようということであれば是非回路計を使いこなせるようになりたいものです。

もちろん、冒頭に記述したとおり、この他にも大切な役割をもつ測定器や検知器が多数存在します。目的に応じてそれらを使いこなせることがなにより理想的ですね!

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