受変電の全貌〜単線結線図概要〜

受電・変電

1.単線結線図

電気を受け取りそしてエネルギーとして使う場合、保護や計測,変圧というようなことをしなくてはなりません。

しかしながら、ひとことで保護だ計測だと言っても、それらがどのようなつながりをもって各々機能しているのかはすぐに理解できるものではありません。受変電設備が実行している各動作を単体で理解できたとしても、理解を深めるためにはその連携や接続の様子を知る必要があるということですね。

そこで大きな役割を果たすのが「高圧単線結線図」というものになります。これは需要家における場合では電力会社から電気を受け取ったあとに構内でどのように処理しているのか、またどのように監視しているのかなど、動きの全貌を基本的に一枚の紙面上で確認できるようにしたものです。

下にその一例を記載します。

上の図は高圧受電における小〜中規模の需要家における単線結線図の例です。

「なんだ、中規模かよ…」と思われないように。実は国内での高圧以上での受電においてはほとんどが小規模から中規模なのです。

ただ、いきなり全貌を確認できる図といって出されてもなんのことやらと思われるでしょう。ですのでこの単線結線図なるものを目的別セクションに分けて説明をします。あくまで繋がりを意識しており、ひとつひとつの図記号(部品)を説明しているわけではありませんのでご注意を。

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2.単線結線図の分解

1)受電点

文字通り電力会社からの電気を受け取るポイントです。ここに開閉器を設けることで電力会社との責任の境界線ができます。「PAS(パス)」や「PGS(ピージーエス)」という器具がついていることが多くその場合そこが「責任分界点」となります。ここでは構内で「地絡」「短絡」が発生した場合に自らを電力系統から切り離す役目を担います。「SOG(エスオージー)」などの保護継電器(地絡方向継電器)で監視および異常時の遮断命令を出す機器と対になってはたらきます。

ひとつ注意ですがこのPASやPGSは通常の負荷電流の遮断や地絡時の遮断は可能ですが、短絡などの過大な電流の遮断は不可能です。では、過電流や短絡電流の発生時はどのように遮断するのでしょうか。

PASなどでは、過電流の発生時にいったんその発生をいわば記憶しておきます。そしてまず電力会社側の開閉所の遮断器にて電気の遮断(電路の開放)が行われ、付近一帯ごと供給が断たれた後にこの器具が動作し構内への電気の供給路を断っておきます。そして、再び電力会社側の開閉所が電路をつなぐ動作(再閉路)を実施しトラブルのあった需要家以外の問題のない需要家に無事に電気が供給されるということです。

このときのPASやPGSの動作を蓄勢トリップといいます。

受電点にこれらがない場合というのは、いわゆる「最後の砦」が無い状態といえます。構内の電気的異常により電力会社が電路の開放と再閉路を試みるのは2回までで、その後は付近一帯の停電(エリア停電)として扱われます。

大切な電気を付近の施設や家屋を巻き込み断つのですからその後に問われる責任は非常に重くなります。

2)計測点(受電設備内その1)

電気の瞬間的なエネルギー(仕事)を電力といい、またそのエネルギーの継続時間による積算量を電力量といいます。

ここでは電力や電力量を測りとっています。受電の最上流ですのでいろんなファクターが正確にわかります。電力会社の計測器はここに取り付けられます。

3)計測点(受電設備内その2)

構内で取り扱うデータとしての計測もここがポイントになります。計測するファクターのうち主には「電圧」「電流」「電力」「電力量」「力率」「デマンド」などがあります。

これらの数値を巧みに利用し、電気の保安や電気エネルギーの合理的な使用に役立てられます。

4)避雷器

避雷器はアレスタともよばれ、誘導雷や遮断器の開閉などによるサージを除去する働きを担います。雷によるものを雷サージ、遮断器によるものを開閉サージといいます。

サージによる電圧は異常に高く、電路にのることで機器の破損等を招きます。避雷器ではこのとき一時的に絶縁抵抗が低下し、異常な電荷を放出(放電)した後にもとの抵抗値へと回復します。

この働きにより自然発生的であっても機械的発生であっても異常に高くなった電圧から電線路や機器を保護します。

5)遮断(受電設備)

先程の避雷器は異常電圧に対する保護でしたが、遮断器等から構成されるこの区画では異常電流からの保護を目的とします。

OCR」という異常電流検知により遮断命令を出すことが可能な機器と、「VCB」等とよばれる実際に電路遮断の能力をもつ機器の組み合わせにより計測している電流値の正常異常を見極めて保護をします。

OCRは「過電流継電器」、VCBは「真空遮断器」ともいわれます。実際遮断の能力をもつ機器としては他にも「OCB(油入遮断器)」などがありいずれも異常電流遮断時のアーク放電をいち早く消し去り(消弧といいます)遮断器自身がダメージを負うことなく電路を解放できるようにつくられています。

また、この遮断に関してもう一つ大事なことは「電力会社よりはやく動作しなければならない」ということです。

もし、電力会社の遮断の動作より遅れて動作するような設定である場合どうなるかというと、構内で短絡などの過大な電流を伴う異常時に肝心の構内の遮断器が反応するより先に電力会社の遮断器が反応し電路開放と再閉路を繰り返した後にエリア停電となります。その間構内の遮断器はおそらくなんの反応も示さないことになります。

そのようなことにならないために電力会社側の遮断動作の整定値よりも需要家の遮断動作整定値はシビアに設定します。

これを「保護協調」といいます。

6)変圧(受電設備内電灯)

この区画では受電設備内の照明や機器動作のための電源確保としての変圧をおこなっています。二次側が単相3線式の変圧器により、2線一対(単相)の回路に交流100[V]及び200[V]の電気を取り出しています。

7)力率調整

ここでは受け取った電気エネルギー(以降「電力」)をより効率的に使用するために「進相コンデンサ(電力用コンデンサ)」が組み込まれています。電力には「皮相電力」「有効電力」「無効電力」という種類の各電力が作用しあっています。その中でも実際に有効的に消費されるのが文字どおり有効電力です。

これらの各電力は単に差し引きでその有効活用率、すなわち「力率」というものが決まるわけではなく「三平方の定理」からなる比率の関係により決定します。

また、このコンデンサを電路に接続することで通常の極性の入れ替わり早さよりも早い「高調波」というものが生じるため、直前に「直列リアクトル」というものを挿入することでその除去をねらいます。ちなみに通常電力会社から送られてくる電力の周波数を「商用周波数」や「商用周波」といい西日本では60[Hz]、東日本では50[Hz]です。

8)計測点(変電設備内その1)

受電設備から配電された電気を構内各負荷の手前で受け取る設備が変電設備です。変電設備はその姿から「キュービクル」とよばれるものもあります。種々の電気部品を金属の箱に収めたものをキュービクルといいます。

ここでも計測はおこなわれています。受電設備が構内の電気受け取りの最上流だとするなら、ここは構内の電力消費機器におけるローカルエリアの最上流といえるでしょう。

計測の項目もあまり受電設備と大差ありません。管理者側が何を知りたいかで多少の違いはあるものの「電圧」「電流」「電力」は少なくとも外せない項目です。

9)遮断(変電設備)

こちらも受電設備同様、緊急時の遮断をします。過電流おける遮断でのアーク放電により、遮断器自身が破損しないように真空遮断器や油入遮断器が用いられます。

またここでも、先の受電設備における遮断同様に、その動作は親となる「受電設備よりも早くなければならない」です。保護協調の考え方はここでも有効ということです。やはりローカルで起きたことはローカルで処理できるようにすることが望ましいのです。

10)変圧(変電設備)

変電設備には文字通り「変圧」という働きがあります。これはここまで保護や計測などの工程を経て実際の機器の側まで送られてきた電気をやっと使用可能な電圧に変換するというものです。

利用される機器は「変圧器」や「トランス」とよばれる電気導体をぐるぐると巻いたものです。電磁気による現象を応用し高い電圧を低い利用可能な電圧に変換します。実は前述の受電設備での変圧も原理は全く同じです。

原理の説明はまた別に譲りますが例えば6600[V]の電圧を200[V]まで下げています。こうすることで一般的に普及している電力消費機器や設備を動作させることが可能となります。

11)計測点(変電設備内その2)

ここでの計測は変圧器の二次側ということになります。

これまでの計測と大きく異なる点は受電から変電という電気取扱いの過程で「電圧が下がった分電流の値が大きくなる傾向がみられる」というところです。もちろんただの加算減算の関係ではないことはいうまでもありません。むしろ乗算除算の関係にあります。つまり比率ということです。

当然のことながらこれは数式で表現することができます。しかしこの記事はその比率について解説する場ではないので別の機会に譲ります。

いずれにしてもこの区画ではより使用状態に近い電気の計測が行われています。

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受電や変電という仕組みは普段電気について知りたいと思う方でもなかなか身近に感じにくい部分だと思います。非常に地味なわりに電気を使用するうえでとても大切かつ複雑なシステムででき上がっています。実際はここで解説したもの以外にもZCTと漏電警報や非常用発電なども存在しそのバリエーションは多岐にわたります。

しかし、自分たちが使用する電気が如何にして使用可能な状態になっているのか知ることは普段の電気の取り扱いはもちろん、エネルギーの原理原則を知るうえで非常に有用な手段といえます。

ここでの内容が皆さんのエネルギーに関する保安上の知識や合理的使用上の知識に役立てられれば幸いです。

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