インバータの基本的な使い方~配線接続と設定~

電気部品・電子部品
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1.インバータとは

電気について日々学習されている、または日々電気の業務に従事される皆さんもおそらく一度は耳にされたことがあるかと思われる「インバータ」。さらには、もはや電気の専門家でなくとも聞き覚えのある単語としての「インバータ」。このインバータとはいったい何者なのでしょうか。

有名なところではエアコンなどに使用されています。また照明や洗濯機にも内蔵されているものがあります。このインバータはどのような目的の機器として開発されたものなのでしょうか。この記事ではそんなインバータについて解説していきます。

では、まずこのインバータがどのような動きができるものなのかについて説明してきます。

1)インバータの前にコンバータ

筆者がどこかで聞いた話ですが、インバータという言葉は「コンバータ」の対義語的な言葉として生まれたということのようです。それが合っているかどうかは別としても、現にインバータは別名「逆変換回路」などともよばれることからコンバータの考え方が先に生まれていたことは予測できます。

ではコンバータとは何をするものなのかについて簡単に説明します。

コンバータは「AC/DCコンバータ」と呼ばれることもあるくらいで、その目的は名前に含まれているとおり、交流電源から直流電源への変換にあります。単相交流電源からの直流電源の変換においてはダイオードブリッジ回路というものによって実現されます。ダイオードの最も顕著な特徴は一方向にしか電気を流さないことにあります。

この特徴を利用して四つのダイオードを四角形に接続することで正負に振れる交流電源を正方向のみで増減する電源として取り出すことが可能となります。これを全波整流といいます。もっともそれだけでは直流電源としては不完全ですので、これに蓄放電作用をもつコンデンサを追加してより安定的な電圧に維持(平滑化)することによりはれて直流電源への変換が実現します。

以下にダイオードブリッジ回路とコンデンサの挿入に関する図を載せておきます。三相交流電源からの直流電源への変換回路も考え方は同じです。こちらも図を載せておきます。

2)コンバータからインバータ

コンバータのことを簡単に説明しましたが、インバータはその逆となります。先に逆変換回路と述べましたが、コンバータの逆ということは直流-交流変換が目的になります。ただ、あまり「DC/ACインバータ」という言葉は聞きませんね。

一般に「インバータ」というと周波数変換」の「装置というとらえ方をされるかと思われますが、本来インバータはあくまでも直流電源から交流電源への変換を目的としています。組織や人によっては前者を「インバータ」または「インバータ装置」といい、後者を「インバータ回路」と使い分ける場合もあります。

さらに、太陽光発電ではまさにインバータ回路をそのまま電力のつくり出しに利用しています。太陽電池モジュールで発電される電力は直流ですので、これをパワーコンディショナーというインバータ回路を含む機器で三相交流電源に変換します。

なお、インバータ回路は以下のような回路となります。各トランジスタが各々のタイミングでスイッチングすることで疑似的な交流回路を作り出すことが可能となります。

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2.産業におけるインバータ(装置)

コンバータとインバータの意味するところ及び、コンバータ回路とインバータ回路について説明しましたが、産業界でインバータというと装置としてのインバータを指します。この場合、装置内は交流電源を全波整流する「コンバータ回路」と整流後に平滑化する「平滑回路」及び直流化された電源を再び任意の周波数の交流回路に変換する「インバータ回路」で構成されます。

この装置の目的はもちろん周波数の変換にあり、特に三相誘導電動機の調速などに用いられます。装置としてのインバータ(以下「インバータ」)を使用することで無段変速も可能となり、省エネにも大きく寄与することになります。

1)二種類の周波数変換方法

インバータでは疑似的に交流電源をつくり出すと述べました。例えば三相交流電源ならインバータを経て得られた任意の交流電源を「疑似三相交流電源」とよびます。この疑似的な交流電源はインバータ回路を用いた二つの方法でつくり出されます。

ひとつを「パルス幅変調方式」といい、「PWM」と略されます。もうひとつを「パルス(周波)数変調方式」といい「PFM」と略されます。

前者のPWMでは単位時間中の出力回数を一定とし、その一回の出力時間を調整することで有効に作用することできる出力(実効値)を調整し交流電源をつくり出すというものです。後者のPFMではごく短い一定時間の出力を単位時間当たりに何回出力するかで有効に作用することできる出力(実効値)を調整し交流電源をつくり出すというものです。

以下、イメージ図を用いて電圧の実効値を例にあげて説明します。あくまでイメージです。その比率などを正確に表現しているわけではありませんのでご注意ください。

2)PWMのイメージ

パルス幅変調方式(PWM)の相間における出力イメージを以下に図示します。パルスの幅が広くなれば広くなるほど電圧実効値が上がっていき、パルス幅が短くなればなるほど電圧の実効値が下がります。

3)PFMのイメージ

パルス(周波)数変調方式(PFM)の相間における出力イメージを以下に図示します。1パルスの幅は一定です。単位時間あたりのパルスの数が多くなれば多くなるほど電圧実効値が上がっていき、単位時間あたりのパルスの数が少なくなればなるほど電圧の実効値が下がります。

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3.V/F一定制御

疑似的に交流電源をつくり出し、その周波数も変更可能なインバータですが、いかなる周波数でもつくり出せるのでしょうか?

さすがにそうではなく、筆者の知る限りでは上限は120[Hz]のようです。では、下限に関してはどれくらいの周波数なのでしょうか。

メーカーによっては3[Hz]あたりを下限としている場合もあるようですが使用した経験上、明確に「○○[Hz]以下は禁止」としてはいないのが現状でしょうか。しかし、以降に説明していることに注意する必要があります。

周波数の変更では負荷機器に対する注意が必要となります。インバータによる周波数変更の対象負荷機器としてはほとんどの場合電動機となるでしょう。その中でも三相誘導電動機が圧倒的に多いと考えられます。そしてこの場合、周波数の増減と共に電動機のリアクタンスという抵抗にも似た働きも増減することとなります。この増減が極端になれば回転力が得られなくなるばかりか、場合によっては過電流が生じ電動機や配線の焼損に至ります。

そしてこの注意点によるリスクを大幅に軽減するために考えられたのが「V/F一定制御」です。「V」は電圧,「F」は周波数ですが、これらによる比率を一定に保つことで過電流の発生を抑制します。周波数が下がれば電圧も同じ比率で下げることにより生じる電流を抑制するというものです。

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4.容量に注意

インバータの装置としての周波数変換について上記に述べてきましたが、電気使用機器としてはこれまで他の記事でも説明してきたものと同じく、容量というものが存在します。ほとんどの場合、インバータを使用して電動機の回転速度制御が目的となるはずですので、二次側には電動機が接続されるでしょう。

このとき、インバータと電動機の容量は必ず合わせるようにしましょう。これを誤ると、インバータや電動機の破損焼損につながりますので絶対に確認する項目としておさえておいてください。

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5.インバータの機能と用途(ex.Mitsubishi製E700シリーズ)

ここからは産業で頻繁に使用される三相交流電源用のインバータの使い方について、よく使用する機能を中心に説明をしていきます。図も使用して説明していますが、わかりやすさのために各端子についてはこの記事中で使用するもののみを抜粋しています。

例として三菱電機製の中でも扱いが容易なE700シリーズの三相用インバータを取り上げますが、どれか一社のメーカーのもので使いこなすことができるならば他メーカーのものを使用した場合でも取扱説明書などで調べることで扱いなれたメーカーのものと同様に使用することが可能です。

もっとも、そのためには扱いなれているものにおいても配線や端子,設定パラメータの意味をしっかり理解しておくことが必要になります。

なお必ず確認や変更が必要となる、E700シリーズでのパラメータの確認,変更方法ついて先に記載しておきます。手順は以下のとおりです。すべて操作パネルでの操作となります。

a.通常パラメータ

①「MODE」を押す。

②「Mダイヤル」を回し変更したいパラメータに移動する。「P.○○○」に表示される数値がパラメータ№となる。

③「SET」を押して現在値を表示させる。

④「Mダイヤル」を回し設定したい数値に合わせる。

⑤「SET」を押して決定する。

⑥続けて他パラメータを設定したい場合は⑦へ。完了する場合は「MODE」を2回押して周波数モニタへ移動する。

⑦「Mダイヤル」を回し変更したいパラメータへ移動する。以降上記③からを必要パラメータをターゲットとして繰り返す。

b.校正パラメータ

①「MODE」を押す。

②「Mダイヤル」を回し「C...」を表示させる。

③「SET」を押して「C - - - 」を表示させる。

④「Mダイヤル」を回し設定したい校正パラメータに移動する。「C.○○○」に表示される数値がパラメータ№となる。

⑤「SET」を押して現在設定値表示をさせる。

⑥「Mダイヤル」を回し設定したい数値に合わせる。

⑦「SET」を押して決定する。直後パラメータ№と設定値の繰り返し表示になり数秒後に繰り返し表示が止まり、設定完了となる。

⑧「MODE」を押して周波数モニタへ移動する。

1)操作パネルを使用して始動する

最もシンプルな使用方法です。配線するのは電源の「R」「S」「T」3線と「U」「V」「W」の3線で、計6本の線を接続するのみです。以下の図のように結線し、元々インバータについている操作パネルの「RUN」スイッチを押すことで始動できます。設定するパラメータで注意すべきは操作パネルからの操作であることをインバータに認識させることです。

三菱電機製のE700シリーズでは「Pr.79」の「運転モード選択」がその設定項目に該当します。ここに「1」を入力し、「PU運転モード固定」とすることで、操作パネル上の「RUN」スイッチでの始動が可能となります。

また、周波数の設定も操作パネルのクルクル回転するタイヤのような「Mダイヤル」というものを使用することになります。目標の周波数をMダイヤルを回すことで周波数を設定し、「SET」キーで決定します。

上記のように準備しておくことで電源が供給され、「RUN」スイッチが押されると設定された周波数の電力が負荷に向けて出力されることになります。

2)外部接点による始動

おそらく、この始動方法が最も多用されるのではないでしょうか。インバータの外部に位置する接点で「RUN」します。

三菱電機製のインバータではスイッチやリレーの接点を「SD」端子と「STF」端子に繋ぎます。「STR」という端子も存在しますが、これと「SD」に接点を繋ぎ込んだ場合は逆転指令になります。接点は無電圧で問題ありません。よく「ドライ」と表現される接点の状態です。

設定するパラメータは運転モードについてのものとなります。つまり「1)」のときと同じ「Pr.79」の「運転モード選択」です。ここに「3」を入力し「外部/PU併用運転モード1」とすることでインバータは、始動においては外部から、周波数決定においては操作パネルからの指令として認識することとなります。

上記の方法のみで使用する場合、予め設定した周波数での運転となり、「1)」での始動のきっかけが外部接点に置き換わるということになります。

3)外部接点と多段周波数設定による運転

この方法は「2)」での外部接点による始動に加え、基本3段階の周波数設定(3速設定)により条件に応じた周波数で運転する方法です。

外部からの始動指令に関する接続は「2)」と同じですが、「High」「Middle」「Low」に予め設定した周波数で運転することができます。

例えば、この状況では「High設定周波数」、その状況では「Middle設定周波数」、あの状況では「Low設定周波数」といった具合に運転中に周波数を切替えることができます。

3速設定の配線接続に関しては「SD」端子を「COM」とし、各接点を介して3速設定(高速)で「RH」端子,3速設定(中速)で「RM」端子,3速設定(低速)で「RL」端子を接続します。「R○」端子と「SD」端子が接点により短絡することで各々に設定された周波数で運転することとなります。

運転モードのパラーメータとしてまず始動に関しては「1)」のときと同じ「Pr.79」の「運転モード選択」を設定します。ここに「2」を入力し「外部運転モード固定」とすることでインバータは、始動においても周波数決定においても外部からの指令として認識することとなります。さらにこの使用方法では「RH」「RM」「RL」端子使用時の周波数も設定しておく必要があります。各々のパラメータ№について「RH」設定では「Pr.4」,「RM」設定では「Pr.5」,「RL」設定では「Pr.6」で各数値(周波数)を設定します。

なお、この多段周波数設定では「多段」といっているくらいですので3段階以上の設定が可能となっています。ではどのくらいまで可能かというと、なんと15段階です。先に出てきた「RH」「RM」「RL」に「REX」端子を含めた各端子と「SD」端子の短絡組合わせで15段階変速を実現できます。「Pr.178」~「Pr.184」のいずれかに「8」を設定することで該当の端子を「REX」に割当てます。使用しない端子に「8」を割当てるといいでしょう。今回の場合「Pr.178」の「STF」端子は使用しますのでここには割当てないようにします。例えば今回ならば、使用しない「出力停止」指令としての「MRS」端子などに「8」を割当てるのが無難でしょう。

多段速の使用方法は、例えば4速設定では「RM」「RL」が同時に「SD」端子と短絡状態,5速設定では「RH」「RM」が同時に「SD」端子と短絡状態,15速設定では「RH」「RM」「RL」「REX」のすべてが「SD」端子と短絡している状態という具合です。

パラメータも4~7速設定では「Pr.24」~「Pr.27」,8~15速設定では「Pr.232」~「Pr.239」にその周波数を設定しておく必要があります。

4)外部接点とアナログ入力周波数設定による運転

この使用方法は外部からの接点入力での始動指令とともに周波数の設定をアナログ信号の入力により決定する方法になります。先の多段周波数設定に対してこちらは無段周波数設定になるといったところでしょうか。

これまでの方法と同様、外部の接点による始動指令を利用します。つまり始動にかかわる接続においては「2)」と同様となります。また「Pr.79」も「2」となり、「3)」と同様の設定になります。

ただし追加の配線として、後述する「Pr.178」~「Pr.184」のいずれかで「4」を設定した端子と「SD」を短絡する、もしくは接点で導通させる必要があります。これはアナログ信号用の配線を接続する「4」端子と「5」端子を用いる場合に必要となる、「AU」信号の有効化をするための配線となります。下の図では例として「Pr.180(RL端子)」に「4」を入力し「AU」信号として割り当てていますので「RL」端子と「SD」端子を短絡しています。

では、アナログによる周波数設定入力はどのようになるのでしょうか。以下に便利な2パターンを説明します。といってもよく使う4-20[mA]と1-5[V]を入力信号に決定した場合での使用方法です。

配線とスイッチとパラメータ、各々の設定に矛盾が生じないように注意してください。ここに矛盾が生じると破損や焼損の原因となります。また、入力端子は必ず定格以下で使用してください。以降に説明している「4」端子は最大許容電流30[mA],最大許容電圧はDC20[V]となります。これらはあくまでE700シリーズに関してですので別型式や別メーカーのものでは必ず仕様書の確認をしてください。

a.4-20[mA]入力での周波数設定

4-20[mA]のアナログ信号による周波数設定を実行する場合はまず、アナログ信号発信器(センサーやアイソレーター,PLCアナログ出力ユニットなど)のプラス(+)側を「4」端子に接続しマイナス(-)側を「5」端子に接続します。

次いでスイッチ設定になります。インバータ表面カバーを外した中の制御回路端子台の上部に位置する「電圧/電流入力切換スイッチ」が「I」側へ切替わっていることの確認をします。もし「V」側にあるのならば「I」側へ切替えます。

最後にパラメータ設定となります。以下の7項目に設定をしていきます。

①「Pr.73」の「1」を確認、もしくは「1」へ設定します。ここは今回のような場合特別に触るところではないです。設定によってはアナログ信号の入力のしかたによる可逆運転(正逆運転)の選択ということになります。

②「Pr.178」~「Pr.184」のいずれかに「4」を設定します。使用しない端子に「4」を割当てるといいでしょう。ただし今回の場合「Pr.178」の「STF」端子は使用しますのでここには割当てないようにします。これによりAU信号というものをONするという設定になります。

③「Pr.267」の「0」を確認、もしくは「0」へ設定します。これは先のスイッチ設定同様4-20[mA]を選択する設定となります。

④校正パラメータのうちの「C.5」の「0」[Hz]を確認、もしくは「0」[Hz]へ設定します。

⑤校正パラメータのうちの「C.6」の「20」[%]を確認、もしくは「20」[%]へ設定します。これが4-20[mA]のうちの4[mA]に相当します。

⑥校正パラメータのうちの「Pr.126」の「60」[Hz]を確認、もしくは「60」[Hz]へ設定します。

⑦校正パラメータのうちの「C.7」の「100」[%]を確認、もしくは「100」[%]へ設定します。これが4-20[mA]のうちの20[mA]に相当します。

以上が4-20[mA]で周波数設定を実行する場合の各作業となります。

b.1-5[V]入力での周波数設定

1-5[V]のアナログ信号による周波数設定を実行する場合は「a.」の時同様、アナログ信号発信器(センサーやアイソレーター,PLCアナログ出力ユニットなど)のプラス(+)側を「4」端子に接続しマイナス(-)側を「5」端子に接続します。

次いでスイッチ設定になります。インバータ表面カバーを外した中の制御回路端子台の上部に位置する「電圧/電流入力切換スイッチ」が「I」側にあるのならば「V」側へ切替えます。

最後にパラメータ設定となります。以下の7項目に設定をしていきます。

①「Pr.73」の「1」を確認、もしくは「1」へ設定します。ここは今回のような場合特別に触るところではないです。設定によってはアナログ信号の入力のしかたによる可逆運転(正逆運転)の選択ということになります。

②「Pr.178」~「Pr.184」のいずれかに「4」を設定します。使用しない端子に「4」を割当てるといいでしょう。今回の場合「Pr.178」の「STF」端子は使用しますのでここには割当てないようにします。これによりAU信号というものをONするという設定になります。

③「Pr.267」を「1」へ設定します。先にスイッチ設定で「V」を設定したことと同様に1-5[V]を選択する設定となります。

④校正パラメータのうちの「C.5」の「0」[Hz]を確認、もしくは「0」[Hz]へ設定します。

⑤校正パラメータのうちの「C.6」の「20」[%]を確認、もしくは「20」[%]へ設定します。これが1-5[V]のうちの1[V]に相当します。

⑥校正パラメータのうちの「Pr.126」の「60」[Hz]を確認、もしくは「60」[Hz]へ設定します。

⑦校正パラメータのうちの「C.7」の「100」[%]を確認、もしくは「100」[%]へ設定します。これが1-5[V]のうちの5[V]に相当します。

以上が1-5[V]で周波数設定を実行する場合の各作業となります。

5)出力端子機能について

ここまではE700シリーズのインバータを動作させるための接続や設定について述べてきましたが、ここではインバータから出力される信号を一つだけ説明します。

インバータが異常を検知した場合などにそれを中央制御機器や表示器に伝達するためのインバータ内部接点と考えてください。もちろん割当てを変更することで異常以外の情報をON/OFFで出力することが可能です。以下、接続方法から説明します。

「C」端子を「COM」として、出力時に導通として情報を出力したい場合は「A」端子を受信側の機器につなぎこみます。逆に出力時に非道通として情報を出力したい場合は「B」端子を受信側の機器につなぎこみます。

もちろん接点定格が存在しますので注意してください。E700シリーズのABC端子では、ACなら電圧230[V],電流0.3[A]が、DCなら電圧30[V],電流0.3[A]が定格となっていますので必ずこれ以下で使用してください。

パラメータ設定では「Pr.192」の「ABC端子機能選択」を使用します。ここには実に多くの種類から割当てを決定できます。よく使用されるのは「99」の「ALM」つまり「異常出力」です。これはインバータが運転継続できないような内部重故障を検知した場合に運転停止と同時に出力される接点信号となります。筆者もよくこの割当てで使用し、システムの安全に役立てています。

ここですべては紹介できませんが、このほかにも運転中信号や出力周波数検出信号,軽故障信号や寿命警報信号など本当に様々な信号の種類の中から選ぶことができます。

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6.様々な機能

上記まででインバータの周波数変換原理や三菱電機製のE700シリーズを例とした代表的な使用方法などを説明してきましたが、どのメーカーのものでも実に多くの機能が詰まっています。この記事で説明しきれていない大切な機能もまだまだあります。

例えばE700シリーズでの加速時間「Pr.7」や減速時間「Pr.8」の設定は、慣性力の大きな負荷を駆動する場合にその時間を延ばしてゆっくり立ち上げたり停止することで過負荷を防止することができます。オプション機器を取付けることでアナログ信号の伝送などもできます。

とにかくは機能が多すぎてとても説明しきれませんし、筆者はすべてを使いこなしきれてはいません。しかし、ここで説明した一部の基本的な機能だけでも充分にシステム内での駆動系における多くの制御要件を達成できます。

また、重複しますが一つのメーカーの一つの型式のインバータを思いどおりに使うことができれば他メーカーのものも端子やパラメータの表現が異なるのみで、同じような用途であれば必ず使いこなすことができます。さらに多機能になった場合でも基本的な原理と配線,設定方法を理解していれば必ず追いつくことができます。

さらにPLCとも非常に相性がいいので、これによる制御の設計幅は本当に広いです。

インバータは非常に機能性豊富で複雑な機器ですが、目的を達成できるように使いこなしていきましょう!

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